国産家電メーカーは苦境…中国発「ハイアール」に聞く“差別化成功”の理由
進学や就職など新生活が近づいている。冷蔵庫や洗濯機といった白物家電を揃える需要も高まる季節だと言えるだろう。特に初めての一人暮らしともなると、予算も限られてくるため、できるだけ安価でかつ品質の良いものを選びたくなるものだ。
そんななか、コストパフォーマンスに優れた白物家電として定評のあるブランドが「Haier (ハイアール)」だ。中国発の家電メーカーとして1984年に創業し、現在では世界160か国以上に事業展開するグローバルブランドとして知られている。
今回は、ハイアールの日本法人であるハイアールジャパンセールス株式会社 東京支店 マーケティング部課長の松田 完一氏に、日本で白物家電がヒットしたわけや今後の展望について話を聞いた。
ハイアール独自の「ダブルブランド戦略」
ハイアールは2002年に日本上陸し、今年で20年目を迎える。日本では「毎日寄り添い、くらし支える」をブランドコンセプトに掲げ、ユーザーニーズに合わせた商品を展開してきた。「“ダブルブランド戦略”を確立し、独自のブランド力を築いてきた」と松田氏は語る。
「2012年に提携関係を結んでいた三洋電機が、冷蔵庫・洗濯機事業を事業譲渡することになり、それによって『アクア(AQUA)』と『ハイアール(Haier)』のダブルブランドを展開するようになりました。旧三洋のアクアは中・大型家電、ハイアールは新生活向けの小型家電と、それぞれ棲み分けながら日本市場で販売を行ってきたんです。
ハイアールはもともと冷蔵庫メーカーとして始まったブランドなので、冷蔵庫や洗濯機といった白物家電を主軸に、日本独自の電子レンジや炊飯器などを開発し、市場へ投入してきました。また、ナショナルブランドがあまり注力してこなかった新生活ジャンルをターゲットにし、ブランド認知を高めてきたことも支持されているゆえんだと考えています」
日本市場に合わせたアフターケア
グローバルブランドゆえ、国産メーカーが敵わないほどの圧倒的な生産キャパシティを持っているハイアール。だからこそリーズナブルな価格で日本市場へ販売することが可能になっているのだ。
熊谷市(埼玉県)と京都市(京都府)の2拠点にある研究開発拠点「ハイアールアジアR&D」にて、日本のマーケットにフィットする商品を世に出せるような体制を整えているという。
「グローバルブランドとしての後ろ盾があるハイアールの商品ですが、そのまま出しただけでは成立しないので『日本で問題なく売れるかどうか』が大切になってきます。商品企画部が日本のライフスタイルに合った商品のアイデアを考え、R&D拠点(研究開発施設)で徹底的な研究・検証を経て、市場に投入する体制を敷き、品質や安全基準を追求しています」