脱走したおばあさんの最期の姿に衝撃。「葬儀漫画」を描いた経緯を作者が語る
生きていれば人間誰もが死に直面します。白泉社の電子マンガ誌「黒蜜」で連載中の『お葬式にJ-POP』は葬儀社で働く新卒の主人公を描いた漫画作品漫画作品。
入社初日に、おばあさんと、その娘さんの2人だけが参列する家族葬を担当することになります。そこで直面するのが、おばあさんが「夫の死に2週間気づかなかった」という事実。
その後、おばあさんは施設に入所します。が、わずか1週間後に掛かってきた電話でまさかの事態が伝えられます……。
現場のリアリティのある仕事風景や、深い余韻を残す人間ドラマに引き込まれます。
今回は作者のKimuraさん(@kimurax0778)への全2回にわたるインタビュー。葬儀社スタッフになるまでを語ってもらった前編に続いて、後編では本作連載までの経緯や、葬祭スタッフ経験について語ってもらいました。
【インタビュー前半】⇒入社初日に「死後2週間の遺体」と対面。葬儀漫画作者に聞くリアル
【マンガ『お葬式にJ-POP』第1話を読む】⇒次へ>をタップすると次の画像が見られます
SNSへの投稿が自信につながる
──『お葬式にJ-POP』はリアルなお仕事描写、感情を揺さぶる人間ドラマ、主人公の等身大な葛藤や青春など多層的な魅力がある作品だと思います。様々な要素がストーリーを創るにあたって意識していることは何ですか?
Kimura:主人公あかりの感情の起伏をわかりやすく描くことと、彼女のプライベートなど葬祭スタッフ以外の面を見せるように心がけています。ストーリー面では、読んだ後にジーンとしたり、モヤモヤしたり、スッキリしたり、考えこんだりと余韻が残るように意識していますね。また、『お葬式にJ-POP』はストーリーが各話読み切りです。毎回読んだ誰かに刺さるといいなぁ、と思いながら描いています。
──Kimuraさんは連載前から、イラストコミュニケーションサービスのpixivなどで活躍されていました。SNSへの漫画投稿を始めたきっかけなどはありますか?
Kimura:大学生の頃、お世話になっていた編集者の方から「成長の見込みがない」ということで担当を辞めるとの連絡がありました。落胆していたところ友達から「KimuraちゃんはWebで作品出した方が伸びそう!」と勧められ、雑誌投稿一択をやめ、SNSへの投稿を始めました。
思った以上に多くの方に読んでもらえて、作品に対する自信につながりましたね。以前は「こんなの受賞できるわけがない!」と途中で投げ出すこともありました。ですがSNSに投稿するようになってからは、読んでくれる人がいるという心強さから「とりあえず見てもらおう!」と、短いページでも描ききる姿勢になりました。
連載はとんとん拍子に決まった
──電子マンガ誌「黒蜜」で連載されています。本作の連載が決まったのもSNSを通じてなのでしょうか?
Kimura:ネットでマンガ投稿サイトを探しているときに白泉社の「マンガラボ!」を発見して、お試しの軽い気持ちで投稿しました。結果、1週間も経たずに今の担当さんにお声がけいただいて。くすぶっていた期間が長かったので、こんなにとんとん拍子に決まるとは思ってもみませんでした(笑)。
──描かれていてKimuraさんご自身に1番刺さった回はありますか?
Kimura:自分で描いておきながら刺さる回は4話ですね! たまに読み返して涙を浮かべてます(笑)。
──最後に読者へのメッセージがあればお願いいたします。
Kimura:平素より『お葬式にJ-POP』を読んでくださりありがとうございます。読者の方はもちろん、連載前から私の作品を読んでくださっていた方や、友人、元職場の方々にも感謝申し上げます。
<取材・文/日比生梨香子 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>