テレワーク特需の「PC周辺機器メーカー」大手2社で業績が対照的なワケ
テレワークの拡大によって需要が伸びたのが、PCやその周辺機器。家電量販店ではテレワーク向けコーナーが設置され、PC類のほか長時間座っても疲れないチェアなどが並べられています。
コロナ禍はPC周辺機器メーカーに特需をもたらしたと言えそうですが、会社単体の決算を見る限りそうでもないようです。今回の記事は、周辺機器大手である「エレコム株式会社」、「株式会社アイ・オー・データ機器」の決算資料からテレワークが業績にどう影響したか見ていきたいと思います。
若干異なる事業展開
どちらもマウス、キーボードといったPC周辺機器メーカーという印象がありますが、細かく見ていくと事業分野はやや異なるようです。決算資料によると各社の製品分野は以下の通りです。(※かっこ内は売上高比率)
【エレコム(2021/3期、売上高1081億円)】
パソコン関連(31.2%):マウス、キーボード、Webカメラなど
スマホ・タブレット関連(16.5%):保護フィルム、カバーなど
TV・AV関連(19.9%):ヘッドホン、マイク類
周辺機器(24.2%):無線LAN、メモリ、HDDなど
その他(8.1%):除菌・フィットネス用品、工事費など
【アイ・オー・データ機器(2021/6期、売上高566億円)】
メモリ(5.0%):メモリ、SDカード類
ストレージ(17.7%):HDD類を主力とする
液晶(32.5%):PC用モニター、大型モニターなど
周辺機器(14.8%):Webカメラ、スピーカー類
その他(29.1%):SanDisk、サムスンなどの他社ブランド品販売
どちらもPC周辺機器やメモリ類を販売していますが、アイ・オー・データ機器は液晶を主力としているほか、他社ブランド品の販売も主事業としています。なお両社は自社工場を持たないファブレス経営を行っている点で共通しています。
エレコムの業績は上り調子
近年のデジタル化やテレワークの普及によってPC関連メーカーの売上は伸び続けていると思いたいところですが、両社は明暗が分かれているようです。売上高、利益ともに上り調子のエレコムから見ていきましょう。決算資料によると2018/3期から21/3期までの業績は次の通りです。
【エレコム】
売上高:935億円⇒994億円⇒1009億円⇒1081億円
営業利益:102億円⇒127億円⇒141億円⇒159億円
最終利益:77億円⇒77億円⇒97億円⇒108億円