アフガン混乱で日本株への影響は?ベトナム戦争時とそっくりな状況に
2021年8月、追われるようにアフガニスタンから撤退した米軍。その姿は、ベトナム戦争時と重なる。1975年、サイゴン陥落後1年で暴落相場発生。長い戦争と“米国敗戦”はどんな影響をもたらすか? 米国の信用失墜で長期的には株安が濃厚か? サイゴン陥落前後の相場から今後を予想した。
“逃げ帰る米軍”を印象づけたアフガン戦争の終焉
8月30日、アフガニスタンに駐在していた米軍が完全撤退した。2001年から続く泥沼のアフガン戦争の終焉だが、反政府勢力タリバンに首都カブールを制圧された後の撤退は“逃げ帰る米軍”を印象づけた。国際情勢に詳しい経済エコノミストのエミン・ユルマズ氏(@yurumazu)は次のように話す。
「9・11テロの首謀者ウサマ・ビンラディンを匿っていたタリバン政権に、引き渡しを拒否されたことがアフガン戦争の発端。アフガンに侵攻した米軍は10年前、ビンラディンを殺害しました。すでに目的は達成したわけで、撤退は既定路線でした。米国が読み違えたのはアフガン政府軍の戦力。米軍撤退後も半年程度は持つだろうと考えていたのが早々に敗北し、慌てて撤退せざるをえなくなった」
米国事情に詳しい元外銀為替ディーラーの西原宏一氏も批判する。
「アフガン人協力者を残したままの米軍撤退は、米国内でも『悲劇的な失敗』と大バッシングを浴びている。過去にはベトナム戦争でも米軍は破れていますが、このときは粛々と撤退しました。一方、今回はタリバンに『お願い』して撤退する時間をもらっただけ。急な撤退作業で混乱するカブールの国際空港付近ではテロ組織による自爆テロが発生して、100人以上の死者を出しました。このぶざまな撤退劇にはバイデン政権を崩壊させ、マーケットを混乱させるほどのインパクトがあります」
カブール陥落をきっかけに大荒れ相場となる可能性
実際、8月15日にカブールがタリバンに制圧されると、翌日には日米ともに株安の展開に。18日には日経平均が年初来安値を更新した。だが、その後は押し目買いを集めて急反発。NYダウは再び高値圏を回復している。
「世界の中央銀行が供給する緩和マネーが生み出したバブル相場だからです。バブルはいずれバースト(破裂)します。マネーには限りがあり、いつ崩壊してもおかしくありません」(エミン氏)
長期的にはカブール陥落をきっかけに大荒れ相場となる可能性もある。1975年のサイゴン陥落と今回の米軍撤退の類似点から、ドル売り・株安相場を予想する声も高まっているという。