いきなり儲かる投資は可能か?より確実な投資法をプロに聞く
資産運用に関心が集まるなか、さまざまな情報が氾濫している。私たちは、何を基準に投資法を考えていけば良いのだろうか?
『金融のプロが実はやっている最もシンプルで賢い投資の結論』(朝日新聞出版)著者で、日米の金融機関で取締役を歴任し、現在は東証1部上場企業CFOでもある北村慶氏に聞いた(以下、北村氏寄稿)。
「常勝の投資法」などは存在しない
投資本やネットなどには、「△年で□倍になるヒミツの運用法」「短期間で○億円儲かった驚異の投資法」といった表現が氾濫しています。FXやバイナリーオプション、デイトレや短期の仮想通貨売買で儲かった、という記事などを見た人もいるでしょう。
こうした投資法の紹介は役に立たないか、あるいは言葉を選ばずに言えば、“有害”だと筆者は考えています。それは、そのほとんどが、「デイトレ」などの短期的に勝つためのトレーディング型の運用についての解説だからです。
「デイトレで○億円儲けたAさん」といった話が真実であったとしても、そのAさんの陰には、損をした数多くの個人がいることを忘れてはなりません。
また、トレーディング型の運用で市場に勝ち続けることは容易なことではありません。なぜなら、短期的に勝つためのトレーディング運用は、その瞬間においては、「誰かが得をすれば、誰かが損をするゲーム」、すなわち、ゼロサム・ゲームだからです。
「ポジション・トーク」にご用心
考えてみてください。「短期間で○億円儲かった驚異の投資法」が、本当に“常勝の運用法”なら、どうしてその著者はその手法を他人に教えたりするのでしょうか? 本を書いたりYouTubeで発信したりする労力を考えれば、「短期間で○億円」を儲けたほうが楽で良いに決まっています。
常に市場に勝つことができる“常勝の運用法”などは存在しない、ということをまず知る必要があります。
また、株式投資の雑誌やサイトで、個別銘柄を推奨しているものも疑ってかかる必要があります。本当にその銘柄が上がると思っているなら、書き手は、先回りして安値で買っておき、それを推奨することで多くの買い手を集め、値上がり益を確実に手にすることができます。
このように、個別銘柄に言及したコメントや推奨は、自己の利益を図るために行う意図的な発信、いわゆる「ポジション・トーク」である可能性があります。