夜の公園にスマホをぶん投げた…「スマホ奴隷」ビジネスマンの苦悩
もはや現代人の生活とは、切っても切れない存在になったスマートフォン。
便利な反面、使用頻度が増せば「スマホがないと生きていけない」という状況をも生み出す。スマホ依存が世界的に注目されているなか、いま一度「スマホとの距離感」について考えてみた。
夜中でもビジネス用のチャットで起こされる
近年はビジネスチャットを導入する企業も多いが、そういったアプリも会社員を振り回す材料になっている。IT営業職の大川聡さん(仮名・37歳)が話す。
「会社にSlack(スマホ対応のビジネス向けコミュニケーションツール)が導入されてから、休み中も気が抜けなくなりましたね。確かに便利なんですけど、深夜でもおかまいなしに連絡が来るんで。
緊急用件なら仕方がないんですが、なかには無駄に意識高い社員から『このハードルを乗りきろう!』的な単なる暑苦しいメッセージもあって『トラブルだったらどうしようと思って確認したのに、こんなんで起こすんじゃねぇよ』と」
本当に事故が起きていれば、深夜対応も業務扱いになる。しかし、Slackの確認は仕事時間に含まれない。
大川さんはスマホの通知で起こされ、寝つけずそのまま出勤することもたびたびあるという。
「社員間のコミュニケーションを活発にして仕事を円滑に進めるためのツールなのに、逆に弊害が出てるんじゃ本末転倒ですよ。あと面倒なのは、人によって返信の早いアプリが違うので、それを把握して対応しなきゃいけないこと。
Gmail、LINE、Facebookメッセンジャー、さらにチャットも業務用とプライベート用で2種類あるので、しょっちゅういろんな通知が来て、スマホではおちおちネットフリックスも観ていられない」
着信通知に嫌気がさして夜の公園にぶん投げた
仕事に追われ続けた揚げ句、スマホを憎む人も。ウェブメディアの記者として働く梅田蒼汰さん(仮名・28歳)は、「仕事のピークが訪れると、鳴りやまないLINEの通知に恐怖を感じる」という。
「夜中でも催促の未読マークがどんどん溜まると、スマホに監視されているというか、何か悪いことをしているような気分になるんです」
次第にプレッシャーから自発的にLINEが開けなくなり、時には友達に頼んで通知をゼロにしてもらうこともあったという。
「先月も鬼のようにLINEが来て、酒も飲んでいたのでムカついて近所の公園にスマホを捨ててやりました。
翌朝冷静になって青ざめて必死に捜したらなんとか見つかって、九死に一生を得ましたよ。会社には『スマホを落としてしまって』と、必死にウソつきました」