「東大出てるんで」が口ぐせ。挫折型エリートが悩むこじれた自意識
「常になんかひがんでるんですよね」
こうボヤくのは、東大卒業後、大手不動産会社に入社した近藤次郎さん(仮名・27歳)。地方開業医の一人息子で、中高は一貫の超進学校で過ごしたという彼は、客観的にみると温室育ちのエリートです。
しかし、「中高の同期とか東大の友人と比べちゃうんですよ」という近藤さんのボヤキは、なぜか謙虚を通り越してネガティブに響きます。
「中高の同期、東大の友人と比べちゃう」
「医者になるやつは地方の大学出ても初任給40万円とかで、コンサルの同期とかもスゴい稼ぐ。だから『俺なんか』って思っちゃうんです……。東大だと、帰国子女でバイリンガルみたいな優秀な人もスタンダードにいて、そういうのには敵わないです」
東大卒で大手不動産系というのも、かなりの王道トップエリートに思えます。さすがにそれは「こじらせ」すぎでは……?
「僕、医学部受験に失敗して1浪して東大なんです。僕にとっての王道は医者だったので。どうせ就職するなら、東大ブランドも活かせる官僚になりたかったですね。この会社は東大派閥すらないので(苦笑)」
さらに、開業医の親や、周りの友人の優秀さと自分を比べてしまうといいます。
「僕は東大を出たけど、医者になることを挫折して働いている。だから、成り上がらなきゃいけない人生だと思ってます。どの地点でも『まだ発展途上だ』と思ってしまうので、ステイタスのウマミを感じられないんです。いつか自分に満足したいですね」
東大卒は東大卒でみんなそれぞれ大変
ほかに学歴で得したことを尋ねると、「就活のときに間口が広かったことです」と即答。では、入社後は?
「うーん……本配属が希望通りだったことかな。周りはそうでもなかったんで、優遇されてるなって思いました。でも、入り口が違うじゃないですか」
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