バターサンドが大ヒット。急成長のお菓子ベンチャーに聞く「勝因と失敗」
クッキーやケーキ、チョコレート……世の中にはたくさんのお菓子が出回っている。株式会社BAKEは「お菓子を、進化させる」をコンセプトに、従来の製菓業界の常識にとらわれないブランドを次々と生み出している。
BAKEはなぜお菓子のブランディングにこだわるのか、またヒット商品を作るために工夫していることは何か? 同社執行役員でありCCO(チーフクリエイティブオフィサー)の柿﨑弓子氏に話を聞いた。
美味しさの次にデザインを重視する
2013年に創業したBAKEは、独自のブランディング戦略や、7年間で世界8か国・124店舗という急成長ぶりで、「お菓子のスタートアップ」と言われている。デザイン事務所に10年以上勤めていた柿﨑氏も、BAKEの“ベンチャーマインド”や“デザインへの理解度の高さ”に惹かれたという。
「会社として『美味しさの次にデザイン』を大切にし、個性豊かなブランドを展開しているところに興味を持ったんです。デザインやクリエイティブに理解ある従業員も多く、自分の培ってきたデザインの知見を活かして仕事ができると思い、入社しました」
入社当時は焼きたてチーズタルト専門店「BAKE CHEESE TART」や焼きたてカスタードアップルパイ専門店「RINGO」、シュークリーム専門店「クロッカンシュー ザクザク」が屋台骨としてブランドを支えていたが「組織としては成り立っていなかった」と振り返る。
「なんかこう、部室みたいな場所というか(笑)。ベンチャー気質溢れて、活気ある社内でしたが、 個々が立ちすぎていた分、チームとして力を十分に発揮できていなかった。そこで、デザイナーをやりながら、組織をマネジメントするディレクターも兼務。チームとして動ける体制にしていきました」
型破りな蛍光色ラベルの「PRESS BUTTER SAND」
そんななか新たなヒット商品として生まれたのがバターサンド専門店「PRESS BUTTER SAND」である。
「PRESS BUTTER SANDはパッケージや店舗、従業員のユニフォームなどあらゆるデザインにアートディレクターとして関わりました。そのなかでブランドの世界観を表現するには『シンプルでありながら、潜在意識に残るもの』でなければならないと感じたんです」
「お菓子のパッケージではほぼ使われない蛍光色のオレンジをラベルに使用したり、手触り感のある紙をパッケージに採用したりと“色彩”や“手触り”でブランドを思い出してくれる。とことんこだわり抜いて作ったのがPRESS BUTTER SANDでした。BAKEらしさはもちろん、ギフトブランドとして親しまれるように意識しましたね」