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どうなる民泊?「新法ショック」を生き抜くコツをプロに聞く

コラム

 空き家や空き部屋を誰かに貸したり、誰かから借りて宿泊施設として利用する民泊。

 6月15日に「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が施行されたほか、2020年の東京オリンピックも視野に入れた外国人来訪者の増加に伴い、日本国内でも今後の普及が注目されています。

民泊

※画像はイメージです(以下、同じ)

 しかし、一方では民泊のセキュリティ問題も取り沙汰されています。世界的な民泊サービス「Airbnb」は、民泊新法の施行を受けて営業登録の届け出がされていない約4万8000件の物件をサイト内から削除。オーナーや管理人の許可を得ず部屋をまた貸しする「ヤミ民泊」も問題化しています。

 昨今、表面化してきた民泊のセキュリティ問題について、タイや日本国内で2013年から民泊事業を展開するエアーグローバルエージェンシー バンコク・オフィスのCEO・近江幸生氏に聞いてみました。

民泊新法の施行で住宅を宿泊施設として利用可能に

近江社長

【近江幸生】エアーグローバルエージェンシー バンコク・オフィスのCEO。タイ・バンコクに本社を構え、ASEAN全域タイ、カンボジア、ベトナム、ミャンマー、ラオス及び日本全土で合法民泊を企画運営する

――日本では今年から、民泊新法が施行されました。まず、昨今の民泊にまつわる盛り上がりをどう見ていますか?

近江幸生(以下、近江):弊社の事業がスタートした2013年頃から、広まりを見せはじめたと思います。ひとつはやはり「Airbnb」が注目されたのがきっかけですが、国内では不動産の空室対策も理由に挙げられます。

――近江さんは国内やアジア諸国で外国人観光客を対象にした事業を展開されていますが、国内では当初、どのように民泊が活用されていたのでしょうか?

近江:民泊が広まり始めた初期は、定職がなくても借りられる物件や住むには条件の悪い物件など、日本人の借り手が見付からない物件が外国人向けに利用されていたかと思います。

 現在、例えば弊社では、家族旅行など大人数で訪れる外国人観光客を主に対象とした施設を運営していますが、だんだんと民泊用に管理された物件も増えてきた印象です。

――6月に施行された民泊新法では、宿泊者名簿の義務付けや衛生措置の確保、近隣への騒音防止などが盛り込まれているほか、宿泊施設としての都道府県への届け出も義務化されました。その意味合いをどうお考えになりますか?

近江:宿泊施設というのは従来「旅館業法」によって定められていましたが、民泊新法の施行により、住宅を宿泊施設として貸し出せるようになったのは大きな変化ですね。

 認可制となったのは、自動車でいえば車検を通った車両を使うようなものですが、一般の方も住宅を貸し出せるようになった一方で「違法民泊」の問題もより表面化してくると考えられます。

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