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村上虹郎「日本で芸術は圧倒的に弱者」コロナ禍で抱いた危機感

暮らし

 8月28日に公開を迎える最新作『ソワレ』。ある事件をきっかけに逃避行する青年と若い女性を描いた本作は、俳優の豊原功補と小泉今日子らが立ち上げた映画製作会社の初プロデュース作品として、大きな注目を集めている。

ソワレ

(C) 2020ソワレフィルムパートナーズ

 そんな話題作で主演を務めるのは、独特なオーラで観客を魅了する若手実力派の村上虹郎さん(23)。劇中では、俳優を目指して上京するもうまくいかず、犯罪に加担してしまう青年の翔太を演じている。

 そこで、現場で感じた思いや日本の映画業界が置かれている状況、そしてコロナ禍で新たに得た“気づき”について語ってもらった。

プロデューサーのお二人から謙虚さを学んだ

――今回は、これまで演じた役のなかでも格別に難しいと感じたそうですが、なぜですか?

村上虹郎(以下、村上):大きく2つありまして、1つ目は自分と同じ職業の役柄であるということですね。というのも、自分が生業としていない職業の方が、もう少し無責任でいられるところがありますから。あとは、翔太の人物形成が掴みづらかったこと。僕にも彼のように自分のことしか考えていない部分もありますが、僕の方がまだ客観的なところがあると思っているので、そういった違いが難しいと感じました。

――そんな現場で、プロデューサーである豊原さんと小泉さんという大先輩のお二人の存在感は大きかったと思います。プロデューサーとしてのお二人の印象を教えてください。

村上:まずは、本当に謙虚な方々だと思いました。大ベテランにもかかわらず、「プロデューサーとしては初めてなので、何でもやります!」みたいな感じがにじみ出てましたから。普通、現場でプロデューサーさんってそんなに目立たないんですが、あのお二人だから、僕らも気にしないわけにいかないじゃないですか。でも、逆に僕たちのことをとことんケアしてくださいました。

いま振り返るとすごい日々だった

村上虹郎

村上虹郎さん

――今回は車の運転など、裏方の仕事も率先してされていたとか。

村上:そうなんですよ。誰かが車両部にお二人の名前を入れちゃったので、俳優の送り迎えとか、撮影のために車を止めたり、レールを敷いたりまでしてくださいました。あのときは僕もがむしゃらだったのでそこまで深く考えてなかったですけど、いま振り返ると、小泉さんの運転で送られている毎日が当たり前になっていたなんてすごいなと(笑)。

――豊原さんとは、いかがでしたか?

村上:豊原さんは同じ性別で同じ職業の先輩というのもありますし、そもそも人として気が抜けない存在なので、必然的に緊張感はありました。現場では見せないものの、時々すごくかわいいところがあって……。豊原さんとは対照的に小泉さんは必要に応じて柔らかいときとピリッとしたときをコントロールできる方だなと思いました。

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