紙パックもデザイン性の時代に。老舗企業が挑む“脱プラスチック”最前線
プラスチックごみによる「海洋プラスチック問題」を受け、日本でも世界基準に合わせてビニール袋が有料になるなど“脱プラスチック”の流れが加速している。
すでに多くの日本企業が取り組んでいるパッケージの脱プラスチック化ではあるが、総合包装容器メーカーの東洋製罐グループは、機能性とデザイン性を兼ね備えた紙製スタンディングパウチ「PA-PAUCH(ペーパウチ)」の提供している。他の紙パッケージと何が違うのか、開発時の苦労話、先行事例などを開発担当者に話を聞いてみた。
既存の容器と一味違う
まず目に飛び込んでくる正面の平面部分が広いため、何の商品なのか分かりやすい。
さらに底形状が長方形型で、自立する。実はこの手の自立型パッケージは、中身が別のプラスチック包材に入っていることが多いが、PA-PAUCHはその必要がない。より環境に優しい仕様だ
また、内容物を湿気から保護する防湿性を備え、外装箱を併用することで資材費や物流費の削減にもつながるという。既存の容器と同じように見えて、実はさまざまな工夫が施されているのだ。
差別化したポイントは
すでにある他社の紙パウチとはどう差別化したのか。開発に携わった東罐興業株式会社営業一部の越智亜希子さんは次のように述べる。
「紙のパウチは珍しいものではなく、茶葉やコーヒー、乾き物などですでに利用されていることも多いです。一方で、我々は『ただ素材が紙になっただけのパウチ』は作りたくなかったんです。そこで、弊社の強みである『紙コップ製造の技術』を活かしました。
通常は、中身を入れないと自立しないものが多いですが、底が四角い紙コップの成型技術を転用することで、より高い自立性を保つことができます。また従来の紙パウチは、マチの部分や複数面を接着する必要があり、全面に印刷を施すことが難しく、シールなどを貼って対応することが多いですが、PA-PAUCHは全面に印刷ができるため、売り場でも目に止まりやすく、フォトジェニックなデザインも実現できます。実際に採用いただいたサンエイ海苔様でも、SNSの反応は大きかったそうです」(越智さん、以下同)