組織の壁を壊すコツは「社内外でのつながり」NTT若手社員の挑戦
「新しい取り組みに挑戦しようにも、社内は障壁ばかり」「上司が自分の提案を聞いてくれない」といった、大企業の若手社員ならではの悩み。
しかし、こうした障壁を乗り越えて、社内で新しい事業を立ち上げている若手が出てきている。社内で有志のワークショップなどを開き、他部署の仲間を作ったり、外部の人と交流したりして、そこで得た知識や仲間と一緒に、新しい取り組みを立ち上げているのだ。
そんな取り組みのひとつが、NTTグループ横断の横串団体O-Den。2015年に発足し、定期的に有志のワークショップを開催。スタートアップとの連携を推進する事業をNTT東日本内に立ち上げることにも成功した。
代表の一杉泰仁氏、運営メンバーの若木豪人氏、発起人の山本将裕氏に「大企業を使い倒すコツ」を伺った。
大企業は、知識の共有が難しい?
O-Denは、NTTグループ横断の横串団体。NTTグループ社員が誰でも参加できる団体で、社内外で活躍している人を呼んでワークショップを主催したり、役員層との意見交換・提言を行っている。
スタートアップとの連携を推進する「NTT東日本アクセラレータープログラム」は、山本氏・若木氏らO-Denのメンバーを中心に立ち上げた。当メンバーで会社に提案し、予算化して事業を進め、2018年に組織化できたという。
2019年には、二十数社との協業が実現。例えば、同年スタートした、成田空港においてトイレの空き状況をデジタルサイネージで表示するサービスは、アクセラレータープログラムの一員であるスタートアップとの協業実績の1つだ。
発起人の山本氏は、O-Denの立ち上げ経緯について、「大企業ならではの壁を壊すために立ち上げた」と振り返る。
「30万人いるNTTグループでは、普段はあまり交流がない人も多数。各グループで頑張っている社員と話すことで刺激になればと思い、立ち上げました。他社の若手社員有志団体の存在も刺激になりましたね」(山本)
組織の細分化によって、社内の交流が阻害されることは、多くの大企業で見られることだ。一杉氏と若木氏は、自身の経験も踏まえ、O-Denの役割について語る。
「NTTに関わらず大企業はとにかく組織も社員も多いので知識の共有が難しいことも多い。だからこそ、そうした壁を破っていく私たちの活動には意味があると思っています」(一杉)
「井の中の蛙になってしまうんですよね。グループ内で中途採用社員がいない会社もあるので、社内の独自の価値観を、当たり前のように捉えてしまう人もいる。上司から教わるものが全てではなくて、横で知識を共有することも最も大切なもののうちの1つなんだ、というのは伝えていきたいですね」(若木)