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イケイケな教育系ITベンチャーに転職も…まさかのトイレ掃除の毎日

学び

 日本の教育レベルが下がっていると騒がれているなか、その現状を変えようと教育系スタートアップ(教育分野のサービスを手がけるベンチャー企業)に就職した男性がいます。

 教育一家に生まれ、自身も大学で教育免許を取得し、教員経験もある岩田康一さん(仮名・27歳)が実際に目撃した、残念すぎる教育系スタートアップでの経験談です。

教職一家に生まれ、自然と教員を目指すように

教員

※画像はイメージです(以下同じ)

 岩田さんの家系は代々教職者が多く、父親は教育委員会の要職、母親は中学の英語教諭、祖父は幼稚園を経営する“教育エリート”の家系に育ちました。

 その影響もあり、大学では当たり前のように教職系の学部に進学し、数学の教職免許を取得。

「もともと、教育者が身近にいる環境で育ったのもあり、小さい頃からぼんやりと『僕は教員になるんだろうな』とは思っていました。大学時代に塾講師のアルバイトをしてみてすごく楽しかったので、卒業後は私立中学で非常勤講師として働き始めました」

業務効率アップを図り、提案するも……

学校

 そんな自然な成り行きで学校の先生になった岩田さんですが、すぐに「教育現場の非効率な現実に直面することになった」と言います。

「学校の仕事って、授業以外の業務も多くて雑務も多いんですけど、それはどんな仕事でも同じですよね。でも、もっと学校の先生の労働時間を伸ばしてしまってる原因があるんです。

 仕事のツールが圧倒的に昔のまんまなんですよ。僕が赴任していた学校は私立だったんですけど、しっかりICT教育(※)が行き渡っていて、生徒全員にタブレット型端末を渡しているのに、先生が誰一人として使いこなせてないんです」

 出欠も配布物も全部タブレットで管理できるはずなのに、出席簿も手書き、配布物もプリント、教科書のコピーも全部自分で1ページ、1ページ取っていたそうです。

「これだけITが進んでいるのに、先生同士のスケジュールも職員室のホワイトボード上で共有。Googleカレンダーを使ってスケジュールの共有もできないんです。いまだに「一太郎」が現役の世界ですから(笑)。改善しようにも、僕だけの力ではどうしようもなくて……」

※ICT教育…学校教育の現場で電子黒板やノートパソコン、タブレット端末などの情報通信技術(ICT)を活用すること。

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