異動先はガールズバー!ワンマン社長に振り回された代理店マンの顛末
社長の独裁色の強いワンマン経営の会社では、入社から数年で事業内容がガラリと変わってしまうということがあるようです。
今回、話を聞いたのは大学で演劇部に在籍していた田島大希さん(仮名・29)。彼は舞台で活躍する俳優を目指していたそうですが、25歳になったタイミングで夢を諦め、勤め人になることを決意したといいます。
運良く条件の良い会社に内定。しかし問題も……
「これといったスキルもないし、なかなか働き口が少なくて……。足しげくハローワークに通い、ようやく決まったのが都内にある広告代理店でした。
基本はルート営業で、打ち合わせといいつつ、ほとんどメールや電話で済むことばかりで、自虐的に言うと伝書鳩みたいな役割でした。にもかかわらず、給料は思ってたより悪くありませんでした」
都内に多数不動産を所持する人物がオーナーだったため、案の定、典型的なトップダウン型の会社だったのですが、田島さんは何のためらいもなくヨイショできる“太鼓持ち気質”なので、気難しいと評判のオーナーにも気に入ってもらえたそうです。
しかし基本給は悪くないものの、いくら成果を上げたところで、昇給はオーナーのさじ加減ひとつ。そんな独裁に腹を据えかねる人も一定数いたため、エース級の社員が腹心の部下を数名連れて独立するのが恒例となっていたとか。
増える空きデスクを眺め、ぼんやりと過ごす日々
田島さんと年齢の近い営業マンも、ご多分にもれず会社を去っていきましたが、退社直前まで何も知らされていなかったそうです。
「気兼ねなく話せる仲だと思っていただけにショックでした。今思えば彼には、僕のようにあまり頑張らない社員を食わせてやってるという意識があったのかもしれません」
独立騒動は数年に一度、起こっていたそうですが、そのたびに社員が十分に補充されるということはなく……。
「櫛の歯が欠けたように、空きのデスクが増えていきました。にもかかわらず業務量自体は変わらず。当然売り上げ落ちているでしょうから、多少は不安にはなりましたけど、日々ぼんやりと過ごしていました」