「上司もノルマもなし」で回ってる会社の秘密。飲み会もモニター上で
2019年4月から段階的に施行が開始された「働き方改革関連法」では、時間外労働(残業)の上限規制や、年次有給休暇(年休)の年5日取得義務化などが盛り込まれている。
そんななかこれまでの管理型を中心とする組織論に一石を投じた新しい働き方の実践ノウハウをまとめたビジネス書『管理ゼロで成果はあがる』(技術評論社)が話題だ。
著者の倉貫義人さんは、クラウドで動くウェブアプリケーションの受託開発を手がける株式会社ソニックガーデンのCEOを務める。同社は「全社員のリモートワーク化と本社オフィスの撤廃」「休暇は取り放題で、上司も決済もノルマもなし」「もちろん副業OK」。そんな夢のような働き方を実現した会社だ。
この先進的な取り組みによって、倉貫さんは「会社組織を進化させることができた」と語っているが、前回のインタビューに引き続き話を聞いた――。
「管理ゼロ」ではなく「成果をあげる」ことが目標
――型破りなスタイルだけに、倉貫さんの“組織論”を否定的に捉える頭の固い人もいるのでは?
倉貫義人(以下、倉貫):実を言うと「管理ゼロ」は我が社の標語ではありません。わたしが一番大事にしてることは「成果をあげる」ことなんです。逆に成果が見込めないのに自由を求めるのは、本末転倒と言わざるを得ない。
――なるほど。全ては成果を出すためだと。
倉貫:わたしが働く場所に縛られないリモートワークやバーチャルオフィスを推進したのは、より生産性を高めつつ、みんなで楽に働きたいと思ったからです。つまり「成果を出すための最適なプラットフォーム=組織」であり、「成果を出すための思考回路=マネジメント」だと考えています。
現代の仕事にやっぱり「雑談」が必要なわけ
――最終的にはバーチャルオフィスすら必要でなくなる日が来るかも知れませんね。
倉貫:いや、必要なんですよ、これが(笑)。いくら管理しない組織と言っても、仕事を進める上でコミュニケーションなくしては成果は出ません。前回話したマネジメントのLv.2でも「ザッソウ(雑談・相談)」の重要性に触れたように、再現性よりもクリエイティブ性が強い現代の仕事は、くだらない日常会話であっても、成果をあげるための潤滑油になるんです。
それに会社のオフィスには雑談の機会以外にも「存在感の共有」といった目には見えない機能が備わっています。これらオフィスのメリットをそのまま仮想的にソフトウェアで実現したのがバーチャルオフィスです。だから、遠隔地にいてもコミュニケーションが取れるし、存在の共有も問題なく感じられる。実際にアイルランドに滞在しながらリモートワークしていた社員もいます。