経営統合で社風が「いきなりブラック」に。上司に異動願いを出すも…
「異動願い」を出すも。希望は通らず…
そんな過酷な状況下で、木俣さんは「前から異動したいと相談はしていた」そうです。しかし……。
「とりわけA社の社長だった現社長とは仲も良かったので……。ただ、それが仇となって、部長から執拗なパワハラを受けるようになりました。部長を通さずに直接社長に相談していたのがまずかったみたいです。
やっぱり古い考え方だったB社だけに、そういう順番飛ばしを受け入れられなかったらしく。私だけ無視されたり、席も隅っこに移動させられたり、会議に呼ばれなかったり、子供みたいな陰湿なイジメが続いて、ノイローゼになりそうでした」
そこまでヒドい仕打ちを受けたなら、異動願いも通らなかったのでしょうか。
「むしろ、絶対に異動はさせないって感じでした。社長がいるフロアは4階で、A社の元社員が多くて平和だったのですが、私が配属された部署は3階でB社の元社員が多く、毎日怒号が飛んでいて物々しい雰囲気。しかも私は部長の標的にされていたので、毎日の仕事が一層、苦痛になっていました」
「泣く泣く退職を選択しました」
フロアが違うだけに社長もどうにもしてやれずツラかったでしょうね。
「そうかもしれませんね。結局、その上司と離れるには辞めるしかないと思い、泣く泣く退職を選択しました」
次の職を決めずに会社を辞めたのは初めてだったという木俣さんですが、運良くすぐに次の会社が決まったとか。
「給料も良くなったワケではないですけど、なんとかなりました。今の会社はベンチャー系で上司も、同僚も20代ばかりで自由な社風なので、苦痛とかはないです。ただ友達もできないし、以前ほど居心地は良くはないですね。結局、どこも一長一短かもしれません」
合併で社風が変わり、イジメまで受けるようになり、退職にまで追い込まれてしまった木俣さん。本人が言う通り、完璧に自分に合う会社なんて、どこにもないのかもしれません。転職を考えている方は、自分が仕事に何を求めているかを見つめ直し、転職活動時に優先すべき事項を明確にすることが大事ですね。
― 特集・Around30解雇のリアル Vol.10 ―
<TEXT/白戸ミフル イラスト/デザイア恵利>