「稼げない仕事に夢なんてありますか?」28歳朝ドラ俳優・矢本悠馬の仕事論
人って、続けてれば好きになる
――なぜ好きに変わったのでしょうか。
矢本:人って、続けてれば好きになるのかな。結局、そういう単純な理由だと思うんですよね。興味ないまま始めて、それでお金をもらって、辞めるには引き返せない年齢にもなってる。それでそこそこの活躍ができてる。割とここまでトントン拍子だったので、そもそも好きになること以外の現象が起こってないのかも。嫌いになる要素がないんですよ。
あ、でも悩みはひとつありますね。なんで売れないんだと。人気が出なかったり、売れてないことに対してフラストレーションはあります。
――ええ? 十分、売れてませんか。
矢本:全然。まだまだです。
――憧れの役者さんはいますか?
矢本:阿部サダヲさん、ムロツヨシさん、小日向文世さん、光石研さんとかに憧れます。人気があって、芝居が上手くて、お金を儲けてる。いわゆるカッコいいとされる人には、自分がそのコンテンツじゃないから憧れないですね。憧れてる人のことは、こういう役者さんになりたいというより、あれくらい偉くなって稼ぎたい! という気持ちです。
「稼げない仕事に夢なんてない」
――好きなことでお金を稼げたら最高という?
矢本:え? 稼げない仕事に夢なんてありますか? これから僕の芝居を見て、憧れてくれる人がいたら、それって僕が稼いでないと夢なんて持てないですよね。僕の場合は、気が強いからよかったけど、ちっちゃくてこのルックスでってなると、きっと学校でいじめられる役回りになったり、日の当たらないところにいっちゃうヤツが多いと思うんですよ。でもそういう人間が、こういう一見華やかな世界で仕事をして人気者になって、ある程度モテて、ある程度稼いでたら、夢を持てますよね。
なんか今、美しいものへの需要がありすぎて、僕の世代でも美女とイケメンが多すぎて、そのなかで僕は張り合っている。その姿を見てもらって夢を与えるためにも、もっと売れてお金を稼いで、ある程度モテてないとダメだなって。勝手に背負っちゃってます。
――なるほど。矢本さんがもっともっと売れることを期待しています。では最後に、改めて本作公開へのメッセージをお願いします。
矢本:原作をもともと知っている人は、原作のフィルターをかけないで観たほうが楽しめると思います。麻雀を知らない人、予備知識がない人は、登場人物たちが麻雀という競技で熱くなって自分のプライドをかけるスポコンに近い映画として楽しめると思います。僕が演じた鉄壁は、今どきのさとり世代的なノリの少年だったりするので、同世代の方には共感できるところも多いと思います。
<取材・文・撮影/望月ふみ>