「稼げない仕事に夢なんてありますか?」28歳朝ドラ俳優・矢本悠馬の仕事論
別ジャンルの人との芝居は勉強になる
――なんとなく矢本さんが爆岡、石田さんが鉄壁という逆のイメージを持っていました。
矢本:それは作品中も取材を通じてもお互いにそう感じてます。僕は自分にプレッシャーをかけるために、常に大きなことを言って自信満々に見せてますし。どちらかというと爆岡タイプですね。ただ、物語が進むにつれて、お互いのキャラクターの持つ奥の部分、鉄壁の攻撃性とか、爆岡の小心者なところが出てくるので、このキャスティングは面白いな、よかったなと感じました。
――石田さんは芸人さんですが、芸人、アイドル、アーティストといった別ジャンルの方とのお芝居では刺激を受けますか?
矢本:刺激が多いです。役者とは全然違うんですよ。リズムとか間とか、セリフ回しとか。このシーンをどうしようとしているのか。役者だと、上手い下手に関わらず、ある程度想像の範囲内でくるんです。でも芸人さんやミュージシャン、アイドルといった方たちが芝居をしてくるときには、全く予想がつかない。「な、なぜ??」みたいなところから来たりする。間とか、セリフの音も聞いたことがないような音でくる。すごく楽しいし、勉強になります。
俳優業は「自分が選択した職業じゃなかった」
――鉄壁は、途中で麻雀の道を諦めようとします。矢本さんは子役からスタートしていますが、大人になってから、役者業について、この道を進んでいいのかと悩んだことはありますか?
矢本:うーん、僕の場合、親に小さいときに決められて、一時期学業を優先してたんですけど、また大人になってから親が決めたので、自分が選択した職業ではないんですよ。そのことが言い訳にもなって、悩むことも傷つくこともなかった感じです。
「芝居下手だな」とか「才能ない」って言われたら、そりゃ嫌ですけど、でも「だって両親の夢だし」とかって、どこか逃げじゃないですけど、気を抜ける部分があったから、すごく悩むってことはなかったんですよ。もともと好きで始めた職業じゃないから続いてきたのかなと思います。
――そうなんですか? では、なりたかった職業は?
矢本:お笑いが大好きで、漫才師になりたかったですね。その道を進んでたら、すっげー悩んで傷ついたりしてたんじゃないかな。芝居はもともと全然興味がなくて。でも、今は好きです。好きしかない。壁にぶちあたったりしたら、逆にそれが楽しい。