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ブッダブランド CQはなぜパタヤに移住してバーを開いたのか?60歳の節目に見つけた居場所

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1990年代、日本のヒップホップシーンを震わせた4人組グループ「BUDDHA BRAND(ブッダブランド)」。故DEV LARGE氏が手がけた革新的なビートと、MC陣によるストリート感あふれるリリックは、その後の日本語ラップシーンに大きな影響を与えました。2025年、そのメンバーであるCQが、東南アジア・タイのパタヤへ移住。
さらに、自身が手がけるミュージックバー「Buddha’s Holiday Bar」を開業し、現地在住の日本人の間でも話題となっています。

なぜCQはパタヤを選んだのか。なぜ、今バーを開いたのか。現地で本人に話を聞きました。

ブッダブランドとCQがいた時代

1988年に前身グループ「うわさのチャンネル」として結成され、1990年にBUDDHA BRANDへと改名。
1990年代後半から2000年代初頭にかけて、BUDDHA BRANDは日本のヒップホップシーンで確かな存在感を放ちました。

3MCによる「無敵の3本マイク」。独特の言葉遊びとフロウは、日本語ラップの黎明期を支え、表現を一段押し広げた存在として語られ、代表曲『人間発電所』は今なお日本語ラップを語る上で外せない一曲です。

“ILL伝導者”“緑の5本指”“赤目の達磨の叔父貴”。これらのフレーズを耳にすれば、頭の中でビートが流れるリスナーも多いはずです。

60歳という節目で動き出した理由

転機となったのは、2024年にタイ東部チョンブリ県シラチャで開催された「日本人祭り」でした。知人のラッパーに誘われライブに出演したことが、初めてタイの空気に触れるきっかけとなります。

当時、CQは60歳。「これからは少しゆっくり生きたい」と考えていた時期でもありました。

「タイはバックパッカーが多くて物価が安いというイメージが強かったです。でも実際に来てみると、パワフルなエネルギーにあふれていて、特にパタヤはそれが顕著だった。そしてそれが、60歳になってゆっくり生きたいと思っていた自分に、なぜかハマったんです。誰にも干渉されない感じや、ビーチでのんびり過ごす時間。あとはタイ人の優しさにも触れて、とてもいい国なんだなと。印象は変わりましたね」

ライブという“非日常”と、現地で感じた居心地のよさ。その両方が重なったことで、次の一歩へと意識が向いていきました。

縁と居心地が導いたパタヤという選択

パタヤでの生活は、信頼する後輩の一言から始まりました。
現地で店を営むその後輩から「ここで店をやってみないか」と声をかけられたといいます。

「正直、最初は冗談でしょ?と思っていました。でも、彼のことは信頼していましたし、パタヤで過ごした時間も悪くなかった。だから決断できたんだと思います」

きっかけは人との縁。
しかし最終的な決め手となったのは、この街で感じた居心地のよさでした。

「東京にいても、今はイベント出演が多いわけではないですし。それなら海の近くでのんびり過ごすのも悪くないなって」

実際に暮らしてみると、その感覚は確信に変わっていったと語るCQ氏。パタヤでの生活は、自身にとって無理のない距離感だったといいます。

「本当に居心地がいいです。今の生活は優雅で、心が穏やかになります」その表情からも、この街との相性の良さが伝わってきました。

Buddha’s Holiday Barで生まれる時間

店名の「Buddha’s Holiday」は、ブッダブランドの楽曲『ブッダの休日』から取られています。

店内にはグラフィティアートが描かれ、アナログのDJブースが設置されています。パタヤにありながら、どこか東京のストリートを思わせる空間には、同氏が「好きなもので揃えた」という約2,000枚のレコードが並び、ヴァイナルオンリーで自らがDJを担当。近年では珍しいスタイルです。

「国に関係なく、かっこいい場所にはかっこいい人が集まると思うんです。だからそういう場所にしたい。日本人だけじゃなく、タイ人のお客さんにも気に入ってほしいと思っています。

あと、料理にもこだわっていて、日本から冷蔵輸送された生の近江牛を使ったステーキや近江和牛丼を出しています。音楽や内装も料理もすべて“本物”を出したい」

国籍ではなく、感覚でつながる場所。音楽、空間、そして食。そのすべてを通して作られるこの場所は、単なるバーではありません。

パタヤの夜に、日本のヒップホップが自然に溶け込む。そんな時間が、ここには流れています。

パタヤで続くCQの現在地

かつて、日本のヒップホップシーンで確かな存在感を放っていたCQ。その現在地は、タイ・パタヤにあります。ひとつのライブをきっかけに、パタヤの空気に触れ、いまの生活にたどり着きました。

一見すると、突然の移住とバーの開業に見えるかもしれません。

しかし話を聞くと、その流れは偶然ではなく、年齢、タイミング、出会い、そして場所。それぞれが積み重なった縁の延長にあります。

音楽を続ける形も、生き方もひとつではありません。そのことを、CQの現在が静かに示しています。

Buddha’s Holiday Bar
245/132 Moo 9 Nongprue Pattaya City, Bang Lamung District, Chon Buri 20150 Thai
Instagram:https://www.instagram.com/buddhas_holiday_bar/

[文・写真] 伊藤良二

タイ在住三年目のライターです。
バンコクを拠点に現地取材と撮影を行い、ブログ「 タイ一択 」を運営しています。
集英社オンラインなど複数媒体で、タイの旅、文化、街の今を発信しています。

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写真/使用カメラ EOS R6 Mark II

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