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キユーピー マヨネーズ100年のブランド戦略!“ユ”が大きい理由とトレードマークの秘密

キユーピーマヨネーズ100年のブランド戦略!“ユ”が大きい理由とトレードマークの秘密

マヨネーズといえばキユーピー マヨネーズ。1925年(大正14年)に日本で初めてマヨネーズの製造・販売を始め、2025年に100周年を迎えます。実は、おなじみのキユーピー人形は発売当初からブランドのマスコットとしてパッケージに印刷されています。この記事では、キユーピー マヨネーズの100年の歴史をキユーピー マヨネーズのマスコットとともに振り返ります。

誕生から100年、日本初のマヨネーズ

発売当初のキユーピー マヨネーズのびん
発売当初のキユーピー マヨネーズのびん

どんな料理にも合わせやすいマヨネーズ。今や日本の食卓を代表する調味料のひとつですが、100年前の1925年の日本において、洋風調味料は珍しい存在でした。

国産マヨネーズの誕生は、海外実業練習生としてアメリカを訪れていた中島董一郎が、現地の食事に注目したことがきっかけとなっています。当時からアメリカでは、日常的にサラダが食べられていました。ポテトサラダに使われているマヨネーズは「おいしくて栄養価も高い」と注目したのです。

関東大震災後の復興を機に、衣食住の洋風化が進みます。マヨネーズが受け入れられる時がきたと確信した中島は、1925年3月に日本初のマヨネーズの製造・販売に踏み切りました。

キユーピー広報担当者に発売当時の様子を聞いてみました。

「創始者の中島董一郎は、日本人の体位向上に貢献したいという強い想いから、栄養価の高い卵黄タイプのマヨネーズを開発し、その普及に尽力しました。しかし、キユーピー マヨネーズは1925年(大正14年)3月に発売されましたが、当初はほとんど知られていませんでした」

当時の日本人にはまだ野菜を生で食べる習慣がなかったため、発売直後は、キユーピー マヨネーズを蟹の缶詰にかける食べ方などを提案していたそうです。

そこでマヨネーズを普及させるために力を入れたのが広告です。「広告は資本」と考えていた中島董一郎は、マヨネーズのある食卓と家族の姿を美しく描いた広告などを制作し、マヨネーズの普及に努めました。

戦争の影響で1943年に生産は停止してしまいますが、戦後の1948年に製造が再開。食の洋風化が進み、生野菜を食べる機会が増えてくると、マヨネーズはサラダにかける調味料として広く利用されるようになります。1950年代には、用途もサンドイッチや和の食材に広がりました。

なぜキユーピー人形がトレードマークに?

2025年現在のキユーピーマヨネーズ
2025年現在のキユーピー マヨネーズ

実は、キユーピー人形の誕生はマヨネーズよりも先。オリジナルは、アメリカのイラストレーターであるローズ・オニールが生み出した妖精に由来します。キユーピー人形は瞬く間に世界中で人気を博し、大正時代には日本でも広く親しまれていました。

中島董一郎は、マヨネーズがキユーピー人形のように誰からも愛される商品に育ってほしいとの願いを込めて「キユーピー マヨネーズ」と名づけました。おなじみのキユーピー人形のイラストは、発売当初から取り入れられたのです。

キユーピー人形は、品質へのこだわりと、顧客の健康と豊かな食生活への貢献という企業理念を象徴する存在でもあります。キユーピー広報担当者も「普遍的なかわいらしさと親しみやすさが、ブランド名の採用、そしてキャラクターを使い続ける原点となっています」と語ります。

ちなみに、社名や商品はキューピーではなく、キユーピー。「ユ」を大文字で書くのが正しい表記です。読み方は「キュ」で問題ないそう。これはデザイン上のバランスを考え、ユの字の上の横棒がそろったほうがきれいになるためとのこと。

広がる使い方!100種類のまぜマヨレシピ

マヨネーズのアレンジ
©️PIXTA

「サラダにかけるもの」という使われ方から、現代では和食や洋食はもちろんのこと、スイーツにも活用されています。公式サイトの「キユーピー マヨネーズキッチン」では、定番メニューやウラ技などが幅広く紹介されています。

例えば、卵焼きにマヨネーズを加えて焼くと冷めてもやわらかくなり、チャーハンでは油の代わりにマヨネーズで炒めるとご飯がパラパラになるそうです。

中でも、家庭にあるさまざまな調味料や具材をマヨネーズに混ぜてアレンジする「まぜマヨ」のページでは、なんと100種類ものまぜマヨを紹介しています。合わせる具材は、玉ねぎやコーンといった野菜から、パクチー、ヨーグルト、ブルーベリージャムなど意外な食材も並びます。

筆者も、定番のケチャップでまぜマヨを作って、メンチカツや豚テキにかけて食べてみました。一味違うソースがアクセントになり、いつものおかずがよりおいしく感じました。ほんの一手間で食事の楽しみを増やせるマヨネーズは、食卓に欠かせない味方です。

キユーピーマヨネーズのラインナップ
カロリー控えめや卵不使用など、さまざまな種類があるキユーピー マヨネーズ

キユーピー広報担当者に、次の100年に向けた展望を聞いてみました。

「次の100年も、創始者の思いを大事に受け継ぎ、マヨネーズが食卓に欠かせない存在であり続けるために、新たな挑戦を続けていきます。日本だけではなく世界で親しまれる調味料になり、『世界の食と健康に貢献する』ことを目指していきます」

100周年で掲げられたスローガンは「still in progress.キユーピー マヨネーズ100年。そして、時間は止まらない。」これからも、キユーピー人形のアイコンが、調味料にとどまらず食卓に新しいアイデアをもたらす「クリエイティブな存在」として、私たちの食卓を彩ってくれるでしょう。

1987年奄美大島生まれ。Webメディアを中心に、書籍の著者インタビューや生成AIの活用法、中国に関するコラムなどを執筆。在外教育施設(日本人学校)の教員として、2014年からタイ・バンコクに3年、中国・深圳に5年間滞在。帰国後にライターとして活動を始める。2024年から、日本国内の小学校で講師として勤務しながら執筆を続けている。

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