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婚約破棄の慰謝料はいくら?高額なプレゼントは返してもらえる?【弁護士に聞く男女問題】

婚約破棄の慰謝料はいくら?高額なプレゼントは返してもらえる?【弁護士に聞く男女問題】

浮気や不倫、DVなど、男女間の問題は、どんなに小さなきっかけでも深刻な事態を招くことがあります。特に法律的な側面で悩んでいる方にとって、どのような対処が適切なのか、また、トラブルが大きくなる前にどのように防ぐべきかという疑問が絶えません。本連載では、経験豊富な弁護士に、浮気や不倫にまつわる法律の基本や実際のケースに基づいたアドバイスを聞き、問題解決に向けたヒントをお伝えします。

今回は、「婚約破棄と金銭トラブル」について、アディーレ法律事務所の池田貴之弁護士に解説していただきました。

多額の金銭を渡していた相手に婚約破棄された!

Q1. 将来の結婚を約束していた相手に対し、交際中、生活費を支援する多額の金銭や高額なプレゼントを渡していましたが、婚約破棄されました。返金や返品を請求することは可能でしょうか?

婚約の不当破棄によって金品の返還を請求できる場合は、前提としては

(1)婚約という契約が成立していること
(2)婚姻を前提とした贈与であること

が必要です。

本件の場合では、将来結婚を約束していたということが上記(1)の契約に当たるとは思われます。

他方で、生活費の支援やプレゼントという点が、あくまで婚姻の準備としてや、婚姻するからプレゼントした(例えば婚約指輪など)という関係にあるのであれば、返還請求をすることは可能です。

なお、婚約破棄の理由が返還請求する側にある場合には、不当に破棄されたとは言い難いため、返還請求が認められない場合もあり得ます。

口約束も契約、LINEも証拠に

Q2. 借用書はありませんが、LINEに渡した金額や相手から「結婚するつもりだった」と言われた会話の記録が残っています。それは証拠として有効ですか? 正式な婚約指輪や書面がなくても、法的に“婚約”と認められるのでしょうか?

原則として、「契約」というのは口約束だとしても双方が合意していれば、法的な契約として有効となります。ですので、正式な婚約指輪や書面がなくても法的に「婚約」と認められる可能性はあります。

もっとも、その口約束というのを争われた場合には、証拠として立証する必要があるため、その際にLINEのやり取りなどといった客観的な資料が証拠として重要です。

文脈にもよりますが、「結婚するつもりだった」という文言から、結婚の約束があったと推認される可能性はあるため、証拠として十分有効と考えられます。

婚約破棄の慰謝料は数十万円から200万円

Q3. 婚約破棄によって精神的苦痛を受けた場合、慰謝料を請求できる条件や金額の目安はどのように決まるのでしょうか? また、支援していた金額とあわせて取り返すことはできますか?

まず、婚約破棄の場合の一般的な相場感は、数十万円から高くても200万円程度です。

その中で、破棄の不当性の程度や、実際に婚姻までの準備や話し合いの進捗の程度、破棄による社会的立場への影響の程度、その他、悪質性などが算定の要素として加味されます。

また、上記慰謝料とは別で、婚姻を前提に贈与していたプレゼントや生活費の支援金などは、別建てとして返還請求できます。

[協力]
アディーレ法律事務所

池田貴之(アディーレ法律事務所)
弁護士。不倫問題や離婚問題といった男女間のトラブルを主に取り扱う。第一東京弁護士会所属。

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