雪印100年の歴史を支えた「とろけるチーズ」誕生秘話&簡単おつまみレシピ

パンに乗せて焼くだけで、立ち上る香ばしい匂いと、とろりと溶けるチーズの姿に心が満たされる「とろけるスライスチーズ」。スーパーマーケットやコンビニで当たり前のように目にしますが、誕生の背景には開発者の知られざる情熱や、企業としての絶え間ない進化の歴史が詰まっています。2025年に創業100周年を迎える雪印メグミルクが世に送り出した定番商品のあゆみをたどってみました。
目次
1987年に誕生した「世界初」のとろけるスライスチーズ

スライスチーズといえば、TVCMの「とろけるスライス、ゆきじるし〜」というキャッチフレーズを思い出す人が多いのではないでしょうか。「雪印とろけるスライス」が発売されたのは1987年。1980年代後半に普及し始めた宅配ピザの影響で、加熱して溶けるチーズのおいしさが広く認知され、ニーズが高まっている最中のことでした。
実は、加熱すると糸を引くプロセスチーズの製造は非常に難しく、一度は技術的な困難から商品化が見送られました。しかし、市場のニーズに応えるべく、1986年に開発が再開。横浜のチーズ工場で繰り返されたラインテストや試作の山にもかかわらず、開発チーム全員の「情熱と愛情」が注ぎ込まれ、再開からわずか半年というスピードで商品化に成功(雪印メグミルク「チーズクラブ」より)。
ナチュラルチーズの「糸引き性」とプロセスチーズの「保存性・利便性」を両立した、「世界初の技術」を用いた「とろけるスライス」が誕生したのです。
「とろけるスライス」が世の中に与えた影響について、雪印メグミルク株式会社に問い合わせてみたところ、乳食品事業部チーズグループ・沖川哲也さんから以下のようなコメントをいただきました。
「発売後は、家庭の食卓におけるチーズの使い方に変化をもたらし、グラタンやトーストなどの調理用途が広がりました。当時は売上・シェアともに順調に伸び、加熱用チーズ市場の確立に大きく貢献しました」
2012年の次なる一手「焼けるチーズ」へ

2012年には「雪印こんがり焼ける とろけるスライス」が発売。「焼けた時の色・香り」「とろけること」「コク」の3つのおいしさを追求し特許技術によって実現した製品です。
沖川さんから「こんがり焼ける とろけるスライス」の開発秘話も伺いました。
「理想のチーズトーストを見つけ出すために、チーズ10段階×パン5段階 =計50種類の焼き色別のトーストをお客様調査にかけました。ベストな焼け具合を見つけるとともに、それを実現できる配合にするべく、1,000枚以上のパンを焼いてチーズトーストのテストを重ねて開発しました」
こちらも開発チームの熱意が伝わってきます。
発売された2012年頃から「SNS映え」という新しい概念が生まれ、写真映えするレシピが流行し始めました。香ばしい焼き目がつくこのチーズは、トーストやホットサンドなど、加熱して楽しむ料理に特化した意欲作といえるでしょう。

そして2025年、雪印メグミルクグループの創業100周年を記念する特別な商品として、「雪印北海道バター入り とろけるスライス」(期間限定)が登場しました。これは、雪印メグミルクの歴史を支えてきた主力ブランドである「雪印北海道バター」と「雪印スライスチーズ」 をかけ合わせたプレミアムな一品。
沖川さんは、次のようにコメントしています。
「おかげさまでSNS等でも大きな反響をいただいており、購買データからもいつもの『雪印スライスチーズ』に比較して、より若年層の方にお買い求めいただけている様子が確認できています」
長年の定番商品に新たなファン層を開拓する、100周年記念にふさわしい製品といえるでしょう。
5〜10分でできる!とろけるスライスチーズで簡単レシピ
沖川さんから「とろけるスライス」を使ってできるおつまみや朝食などのおすすめアレンジレシピを教えてもらいました。
おやつやおつまみに!パリパリスライスチーズ

①オーブンペーパーにとろけるスライスをのせる
②電子レンジで加熱(1分/600W)

③取り出したらできあがり
「こんがり焼ける とろけるスライス」で実際に作ってみました。カリッとした食感がたまりません。
パリパリスライスチーズのレシピはこちらから。
https://www.meg-snow.com/sliced-cheese/cp/
平日の朝食に!こんがり香ばしチーズトースト
雪印メグミルクの公式サイトでは「こんがり焼ける とろけるスライス」を使ったチーズトーストのレシピが21種類掲載されています。その中から3つ試してみました。
こんがりチーズトースト〈はちみつチーズ〉

① 食パンにチーズをのせてトースター(1000W)で4〜5分焼く。

②はちみつと粗びき黒こしょうをかける。
こんがりチーズトースト 〈鶏そぼろ〉

① 食パンに鶏そぼろと、ちぎった焼きのりをのせる。
② チーズをのせてトースター(1000W)で4〜5分焼く。

こんがりチーズトースト 〈チョコレート〉

① 食パンに大きめに割った板チョコとチーズをのせてトースター(1000W)で4〜5分焼く。

今回は家に中途半端に残っていた板チョコを活用しました。
どのチーズトーストも手軽においしく焼けました。チーズと具、食パンの相性は抜群。忙しい朝にはぴったりのメニューです。
こんがり香ばしチーズトーストのレシピはこちらから。
https://www.meg-snow.com/kongari/
静かに、長く、そして着実に愛されてきた「とろけるチーズ」は、雪印メグミルクの100年の歴史において、革新的な製品のひとつとして位置づけられています。100年企業が守り、育んできたのは、製品の「おいしさ」だけでなく、消費者からの揺るぎない信頼でもあったのかもしれません。