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バフェット氏が投資会社CEOを退任へ!経営への影響は?【やさしいニュースワード解説】

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バフェット氏が投資会社CEOを退任へ!経営への影響は?【やさしいニュースワード解説】

在京の大手メディアで取材記者歴30年、海外駐在経験もあるジャーナリストが時事ニュースをやさしく解説。今回は、「バフェット氏の投資会社CEO退任」です。

「投資の神様」が2025年末にCEO退任へ

「投資の神様」と呼ばれるアメリカの投資家・ウォーレン・バフェット氏(94歳)が経営する投資会社「バークシャー・ハザウェイ」の経営の第一線から退くことになりました。

5月初旬に開かれたバークシャーの株主総会でバフェット氏が、2025年末に最高経営責任者(CEO)を退任し、グレッグ・アベル副会長に引き継ぐことを明らかにしました。

同社はもともと繊維関連の会社でしたが、バフェット氏が経営権を握った後は投資会社に変わり、機関投資家として米国内外の会社に投資してきました。同社はネブラスカ州オマハに本社があり、またスーパーリッチでありながら質素倹約な生活を送るバフェット氏は敬愛を込めて「オマハの賢人」と呼ばれています。

日本の総合商社にも出資

バフェット氏の資産は日本円にして20兆円をゆうに超えるとみられており、その優れた投資手法が世界中から注目されてきました。コカ・コーラやアメリカン・エキスプレス、アップルなどアメリカの主要会社に投資をしているほか、日本の総合商社にも出資しています。5月のバークシャーの株主総会では、日本の商社株は50年間は持ち続けるとの考えも示しました。

このほか株主総会でバフェット氏は、「通商を武器にしてはならない」「自分たちが勝ちだと一部の国が吹聴し、他の国をうらやましがらせるような世界を作り上げるのは良いことではない」と述べ、トランプ大統領の経済・外交政策を暗に批判しました。

バフェット氏が株式を購入する原則

バフェット氏の投資手法は世界の投資家が参考にしていますが、『株で億兆の富を築くバフェットの法則』(ロバート・G・ハグストローム著)によると、バフェット氏が市場で株式を購入する場合に念頭に置いている12の原則があると指摘しています。そのうち主なものは以下のような内容です。

(事業に関する原則) ▼シンプルで理解できる事業か▼安定した事業実績があるか▼長期的に明るい見通しがあるか

(経営者に関する原則) ▼経営者は合理的か▼株主に率直に話せる経営者か

(財務に関する原則) ▼一株当たり利益ではなく、自己資本利益率に着目する▼利益率の高い企業を探す

(価値に関する原則) ▼事業の価値はどれぐらいか▼その事業を価値よりもはるかに安い金額で買収することは可能か

きわめて常識的な原則ばかりともいえますが、バフェット氏はこれらの視点で企業を分析しながら投資判断を行っているとみられています。技術や品質、サービスなどで競争力を持ちながら株価が割安に推移していた企業に投資するスタイルは「バフェット流」として知られています。

世界の投資家からの尊敬も含めた承継

バフェット氏のCEO退任で、高収益を維持してきたバークシャーが今後どんな経営を行っていくかが焦点となります。

バフェット氏は会長職にはとどまるので、当面投資姿勢に大きな変化はないとみられますが、バフェット氏が集めた世界の投資家からの尊敬も含めて、バークシャーの経営を後継のアベル氏がしっかりと承継できるかどうかが将来に向けて問われます。

在京の大手メディアで取材記者歴30年。海外駐在も経験。

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