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公示地価が4年連続で上昇!その背景とは?【やさしいニュースワード解説】

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公示地価が4年連続で上昇!その背景とは?【やさしいニュースワード解説】

在京の大手メディアで取材記者歴30年、海外駐在経験もあるジャーナリストが時事ニュースをやさしく解説。今回は、「4年連続で上昇した公示地価」です。

4年連続で全国的に公示地価が上昇

国土交通省は3月18日、2025年1月1日時点の公示地価を発表しました。公示地価は国交省の土地鑑定委員会が毎年3月に公表する標準地の価格で、土地取引の指標となるほか、公共事業用地の取得価格算定の基準として活用されています。

調査地点は全国約2万6,000カ所に及びます。全用途の全国平均が前年比2.7%上昇で、バブル崩壊後の1992年以降で最高となりました。住宅地は2.1%上昇、 商業地は3.9%上昇となり、 いずれも4年連続で上昇しました。
 
東京・大阪・名古屋の三大都市圏では 全用途平均、 住宅地、商業地のいずれも4年連続で上昇し、上昇幅が拡大しました。地方圏でも全用途平均、住宅地、商業地のいずれも4年連続で上昇しています。 札幌、仙台、広島、福岡の地方四市では上昇幅がやや縮小したものの、その他の地域では、おおむね拡大傾向が継続しています。

外国人向け別荘需要やオフィスの空室率低下も背景に

全国の地価は景気が緩やかに回復している中、全体として上昇の動きが維持されています。 住宅地に関しては、 低金利環境が続いてきたことなどから引き続き住宅需要は堅調に推移しており、地価上昇に結びついています。

また長野県白馬村や野沢温泉村のようなリゾート地や観光地では、外国人向けの別荘やコンドミニアムの需要に加えて地元の住宅需要なども背景に、引き続き高い上昇となった地点が見られました。 商業地では、 店舗やホテルなどの需要が堅調で、オフィスについても空室率の低下や賃料が上昇することによって収益性が向上していることから地価上昇は継続しています。

観光客増加や工場進出で上昇した地域も

訪日外国人客を含む観光客が増加した地域でも、引き続き高い上昇となった地点が見られました。さらに、熊本県や北海道のように大手半導体メーカーの工場が進出している地域では、関連企業を含めた従業員向けの住宅需要や、関連企業の工業用地や事務所などの需要が強くなっており、引き続き住宅地、商業地、工業地ともに高い上昇を示しています。

また電子商取引の増加を受けて、大型物流施設などに対する需要から高速道路へのアクセスが良く、労働力が確保しやすい地域では工業地が高い上昇となっています。

地価の過度な上昇には副作用も

地価の上昇は、経済活動が活発化している状況を示しているといえますが、一方で過度に上昇が続く場合には副作用も出てきます。東京や大阪の中心部などでは、新築物件のみならず中古物件も価格が上昇する傾向にあり、一般の人に手の届かない水準にまで値上がりするケースも出ています。

かつてのバブル期のような過熱した取引を生まないためにも、行政と民間部門の双方から市場動向を注視・警戒する必要があります。

在京の大手メディアで取材記者歴30年。海外駐在も経験。

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