ライフワークとしてブックレビューを長年執筆する経済ジャーナリストが、話題の本を紹介。今回は、　「風水」「家相」などを取り入れた家づくりをしている一級建築士・八納啓創氏の著書『金運ハウス　一生お金に恵まれる家の秘密』　（KADOKAWA）です。

住む家の環境が金運にも影響する

お金を貯めるには住まいの環境が重要ということをわかりやすく教えてくれる示す本である。科学的な根拠はともかく、人々が住む家の環境が金運にも影響するという点に興味を持ち、本書を手に取った。

著者は一級建築士で、以前自分の設計した家で立て続けに住む人に不幸が起きたことをきっかけに家のあり方が住む人の人生に大きな影響を与えることに気づき、家や運気に関する専門家に弟子入りするなどして学びと経験を重ねたという。

家にまつわる著者のアドバイスが多く紹介されるが、基本的にシンプルで実践的な内容ばかりなので取り組みやすい。まず玄関を整えてきれいに保つことを指摘する。 玄関はその人や家族の象徴であり、印象を決定付ける。その基準は訪れる人をいい気分にできるか否かという点であり、無駄なものを置かないことや、下駄箱の中も余裕を持って収納するのがいいと指摘する。

富裕層の家ではカーテンや壁などにアクセントカラーを用いる

このほかガラクタを家の中に置かないことや、いつか使うと思う物を溜め込まないこと、さらに家の中を清新な空気に整えることも大切だとする

中でも、自分も含め多くの人がやりがちな床に直接物を置くことをやめる重要性については共感できる。 床に物がある状態は「汚部屋」になる入口を意味するからだという。

また、著者は1 日10分の掃除を継続することで家の中をこつこつきれいにしていくこともすすめる。一気に家全体を掃除しようと意気込むとなかなか大変だが、少しずつ取り組むことなら実践できる人も多いだろう。さらに観葉植物を置き生活空間に天然素材を取り入れることで、リラックス効果が生まれるという。

見た目の工夫についても言及しており、インテリアの色を工夫することがポイントだという。富裕層の家ではカーテンや壁などにアクセントカラー（強調色）を好んで用いていると指摘する。

家は人が長い時間を過ごす場所

本書の示すヒントはそれぞれ興味深く、家の中の雰囲気を変えるための参考になる。家は人が長い時間を過ごす場所であり、心身に大きな影響を及ぼすことは多くの人が経験的に実感しているだろう。

これらヒントや助言を自分なりに消化し、環境を改善して前向きな発想を生み出すことや、上手に気分転換ができるようにすることは、住む人が人生を充実させる上で非常に重要である。それが将来の金運に結びつくのであれば、なお喜ばしいといえる。

『金運ハウス　一生お金に恵まれる家の秘密』　八納啓創著　KADOKAWA　1,760円（税込）