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【副業希望者が多い都道府県ランキング】東京と同率で1位の県はどこ?

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【副業希望者が多い都道府県ランキング】東京と同率で1位の県はどこ?

bizSPA!ではかつて、副業者率が最も高い都道府県を紹介しました。では「副業をまだしていないけれど将来したいなー」と考える人が最も多い都道府県となると、どこが一番になるのでしょう。

副業したいと考える人が最も多い県は沖縄県

全国の副業者率が最も高い都道府県について紹介したbizSPA!の過去記事では、総務省の「令和4年就業構造基本調査」を参考にしました。

関連:「全国の副業者率」都道府県別ランキング1位は?東京は意外にも2位

副業者率(非農林業従事者)の高い都道府県ランキングは次のとおりでした。

  • 1位・・・京都府(7.5%)
  • 2位・・・東京都(6.5%)
  • 3位・・・和歌山県(5.6%)

その「令和4年就業構造基本調査」では「追加就業希望者」の比率も都道府県別で明らかにされています。「追加就業希望者」とは聞き慣れない言葉ですが、簡単に言えば、副業や仕事の掛け持ちを将来したいと考えている人を意味します。

2022年(令和4年)の時点で、追加就業希望者の比率が最も高かった都道府県は次のとおりです。

  • 1位・・・沖縄県(10.2%)
  • 1位・・・東京都(10.2%)
  • 3位・・・神奈川県(8.8%)
  • 3位・・・京都府(8.8%)

全国平均は7.8%。言い換えると、農林業の仕事以外で働く人のうち、副業をやりたいと思う人は、沖縄と東京の場合、10人に1人くらいは存在している計算になるのですね。

沖縄で、副業や仕事の掛け持ちを希望する人が多い理由

この比率は、2017年(平成29年)の時と比べて全都道府県で高くなっています。副業・仕事の掛け持ちのニーズが全国的に高まっていると分かります。

では、東京と並んでどうして沖縄では特に、副業や仕事の掛け持ちを希望する人が多いのでしょうか。

その要因として、経済的な要因、文化・ライフスタイル要因、社会的要因、行政・企業の後押しが一般に考えられるようです。

例えば、沖縄県民の平均年収は全国平均を下回ります。その上に、非正規雇用の割合の高さも指摘されています。

労働政策研究・研修機構のフォーラムで発表された内容によると、副業を持つ(副業を考える)人の傾向として、正社員よりも、非正規社員の人が圧倒的に多いとされています。

年収が少なく、非正規雇用で働く人が多いという経済的な要因が、沖縄県民の副業意欲を高めていると考えられます。

社会の動きや企業の後押しも副業意向の上昇要因に

他にも、社会的要因で言えば、テレワーク・リモートワークの増加があり、県外の仕事の請負が可能になった点も指摘されています。

関係人口が全国で最も多く、若い世代を中心とした移住意欲が高い沖縄では、移住後にテレワークで働く人がロールモデルとなって、沖縄全体の副業文化に影響を与えているとの見方もあります。

また、行政・企業の後押しも、沖縄県での副業意欲の上昇理由として指摘されています。

おきぎん経済研究所の調査結果によると、自社社員の副業を認める動き、および副業人材を受け入れる動きが沖縄県企業の側で拡大している様子。

特に、副業者を受け入れる姿勢として、

  • 受け入れている・・・17.3%
  • 受け入れ意向あり・・・10.4%

と、沖縄県企業の27.7%が前向きな態度を示しています。医療・福祉の分野、宿泊・飲食といったサービス業でその傾向が特にはっきりしているとの話。

この企業側の受け入れ姿勢については、全国平均が18%という調査も存在しますから、沖縄県企業の積極的な受け入れ姿勢が、沖縄での副業文化の広がりを後押しする一因になっていると考えられます。

企業自体を後押しする動きとして自治体のサポートも見られます。沖縄県企業がプロフェッショナル人材を副業や兼業で採用する際の補助金などもありました。

もちろん、他の都道府県でも、それぞれに似たような状況はあるはずですが、こうした要因が同時に存在するため、沖縄県における副業・兼業への理解・関心の広がりを生んでいると考えられるのですね。

[文/坂本正敬]

[参考]
※ 令和4年就業構造基本調査 結果の要約 – 総務省
※ 令和6年度沖縄労働局の取組(案)(沖縄労働局労働行政運営方針)
副業の実態と課題 – 労働政策研究・研修機構
社員の「副業」認める?認めない? 沖縄376社の回答は おきぎん経研調査 – 琉球新報
320社に聞いた「副業・兼業」実態調査ー人事向け情報サイト『人事のミカタ』アンケートー – エン・ジャパン
沖縄県プロフェッショナル人材確保支援補助金 – 沖縄県
沖縄県プロフェッショナル人材戦略拠点(愛称:人材チャンプルー) – 沖縄県産業振興公社
「地方移住の意識調査」6割が興味あり!テレワークの普及が後押し、居住費も魅力 – Walkerplus
移住にかかわる助成について – おきなわ島ぐらし
関係人口は沖縄県が1位。移住意欲は2割強に上昇「関係人口の意識調査2022」 – 地域ブランドNEWS
平均年収ランキング(47都道府県・地方別の年収情報)【最新版】 – doda
※ 沖縄県の所得水準はなぜ低いのか(現状・背景・処方箋) – 日本銀行那覇支店

〈bizSPA!〉元編集長。北陸3県のWebマガジン〈HOKUROKU〉創刊編集長。国内外の媒体に日本語と英語で寄稿し、翻訳家としては訳書もある。技能五輪国際大会における日本代表選手の通訳を直近で務める。東証プライム上場企業の社内報や教育機関の広報誌でも編集長を兼務しており、広報誌の全国大会では受賞経験もあり。

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