日々働いていると、職場でハラスメントやトラブル、不当な扱いなど、理不尽な問題に直面することは避けられないことかもしれません。そんなとき、自分一人で対処するのは難しいものです。専門家である弁護士に相談し、法律に基づいたアドバイスを受けることで、問題をスムーズに解決する手助けとなります。bizSPA!では、労働問題に関するよくある質問をピックアップして取り上げていきます。

今回は、「無断欠勤をした場合の罰金」について、アディーレ法律事務所の岩井直也弁護士に解説していただきました。

Q1. 無断欠勤をしてしまいました。会社から「罰金3万円」と言われたのですが、支払わなければならないですか？

労働基準法16条は、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と規定しています。

つまり、契約に定められた日時に労務を提供することを契約上義務付けられている場合に、労働者が無断欠勤したということは義務に反する＝不履行となります。しかし、これに対する「罰金3万円」は、欠勤という不履行に対する違約金と解釈できますので、同条項に反して無効になると考えられます。

ただし、罰金自体は無効であっても、無断で欠勤したことによって、会社に重大な損害を与えた場合には、欠勤自体が不法行為として民事上損害賠償等の責任を追及されることは可能性として考えられます。

Q2. 無断欠勤といっても、急病で緊急搬送されて入院し、一人暮らしのため会社に連絡できなかった場合でも罰金を払わないといけないのでしょうか？

上述の通り、罰金を支払う必要はありません。また民事上の損害賠償を請求するためには、対象となる行為を「故意または過失」によって行うことが必要とされます。

しかし、このケースでは、故意に無断欠勤をしたわけではなく、欠勤連絡を怠ったこと等について、労働者に過失があったと言えるかどうかも一見して明らかではありません。したがって、実際に損害賠償を請求される可能性は高くないと思われます。

[協力]
アディーレ法律事務所

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