【2025年1月発足】第2次トランプ政権と中国・台湾・北朝鮮との関係は?
インターネットやSNSで世界中の情報がリアルタイムで手に入る時代、オンライン会議で日本はもちろん、海外のどこにいてもコミュニケーションできるのが当たり前となった。ビジネスパーソンなら海外のビジネス関係のニュースも押さえておきたい。
そこで、各国の情勢に精通しているピエール・パパンさんに、米大統領選挙で当選したトランプ氏が新大統領になることの日本周辺諸国への影響について解説してもらった(以下、ピエール・パパンさんの寄稿)。
1期目以上にトランプ色濃い見通し
米国大統領選挙の結果、共和党候補のトランプ氏が勝利したが、結果を見るとトランプ氏のための選挙だったといえる。トランプ氏は選挙戦の勝敗を分けるといわれるペンシルベニアやウィスコンシンなど7つの激戦州を全勝し、過半数の270人を大きく上回る312人の選挙人を獲得し、ハリス氏を圧倒した。
また、今回トランプ氏は自らが出馬した2016年と2020年の大統領選挙を上回る獲得票数を記録し、多くの市民から支持を集めただけでなく、議会の上院と下院で共和党が過半数を獲得し、すでに“トランプ氏がやりたい政策や法案を議会に提出すれば間違いなく通過する”ような状況になっている。
トランプ氏は政権人事でも自らに忠誠的なイエスマンで周辺を固めており、1期目以上にトランプ色濃い、過激かつ大胆な政策が打ち出されていくだろう。では、トランプ政権が再び発足することで世界はどうなるのだろうか。
“敵国”中国への高関税
まず、中国についてだが、トランプ氏は中国を最も敵と意識しており、中国製品に対して高関税をかけることで中国経済に打撃を与え、米国の雇用や経済を守る姿勢を鮮明にすることは間違いない。それによって中国も米国製品に対して報復関税を仕掛け、関税のかけ合いが激化する可能性がある。中国で製品を作って米国に輸出する日本企業は、高関税の影響を受けることになろう。
台湾の半導体産業へのダメージ
そして、3,000社以上の日本企業が進出する台湾情勢にも暗い影を落とす。バイデン政権は台湾を中国から守るという熱意を持ち、台湾に対して軍事支援を行ってきたが、トランプ氏は、台湾は米国から半導体産業を奪った、台湾は先端半導体分野で儲かっているんだから防衛費を増額するべきだ、と不信感を示しており、台湾を軽視する可能性が拭えない。
中国は5月に台湾のリーダーになった頼清徳氏に強い不満を抱き、台湾を包囲するような大規模な軍事演習も2回実施しており、トランプ氏が台湾を軽視すれば、中国が台湾にある主要な港や海路を封鎖するなどし、台湾を混乱させる恐れがある。そうなれば、台湾産の先端半導体などが輸出できなくなり、日本の製造業は大きなダメージを受ける。
北朝鮮との友好関係
一方、北朝鮮によるミサイル発射は落ち着く可能性がある。北朝鮮がミサイルを発射すれば、日本国内でもJアラートが鳴り、地下鉄や新幹線が一時的にストップするなど大きな影響が出たことは記憶に新しい。
今年5月、沖縄でJアラートが鳴った際、筆者はちょうど那覇空港にいたが、観光客を中心に大パニックになったのを覚えている。トランプ氏は政権1期目、北朝鮮の金正恩氏と3回も対面で会談し、北朝鮮との友好に努めたが、今回も北朝鮮との対話に動き出す可能性が高い。そうなれば、夜中の睡眠中にJアラートで叩き起こされる可能性は今後飛躍的に減るだろう。