多様な働き方が広がる一方で、賃金の上昇がなかなか進まない中、副業に興味がある人だけでなく、実際に始める人も増えている。では、実際に副業をやっている人は、どのような仕事をしているのだろうか？　ちょっと変わった副業経験者の体験談を紹介しよう。

犬カフェで動物のかわいさにドハマリ

今回取材に応じてくれたのは、犬が大好きで将来はペット関連の仕事をしたいと考えている山本さん（仮名・28歳）だ。彼はその夢を叶えるために始めたことを通じて、とある副業に出合ったという。

タクシードライバーとして忙しい日々を送る山本さんは、ある時、友人に誘われて訪れた犬カフェで犬と触れ合ったことをきっかけに、犬のかわいさにドハマリしたそうだ。

「子どもの頃に数日間だけ、親戚が飼っている犬を預かったことがあって、多分その時から犬には興味があったんです。でも、それから身近に犬がいる環境に身を置いたことがなかったんで、自分がこんなに犬にハマるなんて思ってなかったです」

犬に囲まれた生活がしたい

犬のかわいさに目覚めて以来、山本さんにはひとつの大きな夢ができたという。

「将来的に犬に囲まれてできる、ペット関連の仕事をして犬と暮らすのが目標です。ただ、今は仕事で長時間家を空けることが多く、すぐに仕事を辞めることも難しいので、お金を貯めたり動物に関する知識をつけたりすることに集中したいなと思っていました」

資格取得のために行った教室で……

夢を叶えるための第一歩として山本さんは、犬や動物に関するさまざまな資格を取得したいと考えたそうだ。そして、まずは、ドッグトレーナーの資格を取得できる教室に通い始めた。

「教室では資格取得者向けの仕事紹介なんかもしているんですが、そこで資格がなくてもできる、ボランティア的な仕事を紹介してもらうことができたんです」

犬に愛情を与える副業

教室で紹介されたのは、さまざまな理由で保護された「保護犬」の飼育をする保護団体が運営する施設での仕事だった。保護犬は警戒心や恐怖心から人に対して攻撃的になってしまうことも多く、犬のストレスを減らすためにも、ずっと一緒に暮らしてくれる里親に巡り合うためにも、人馴れさせることが重要だそう。

「僕が紹介してもらったのは、その施設で保護犬を撫でたり保護犬と遊んだりと、とにかく愛情を与えて人馴れさせる仕事でした。1回につき3～4時間程度の仕事で、報酬は3,000円と安いんですが、犬と触れ合うことができるし保護犬についても知れるしで、僕にとってメリットしかなかったので、その仕事を始めました」

本業の疲れが癒やされる副業

大好きな犬に囲まれながらできる副業に出会った山本さんは、日々の仕事の疲れを副業で癒やすという体験をしているという。

「保護犬なので、時にはつらくなるような現実を見てしまうこともあるんですが、それでも愛情を与えれば人を信頼してくれる姿をたくさん見て、これまで以上に犬が好きになりました。仕事なのに疲れが吹っ飛ぶなんて経験、できると思わなかったですよ」

この副業を通じて、将来の夢がより明確になったという山本さん。ドッグトレーナーの資格を取得したら、次は動物介護士の資格取得を目指すそうだ。

［文／digiart（デジアート）］