まずパワポを開く人は仕事ができない!東大卒外資IT社長の資料作成の始め方【20代で年収1,000万円超を目指す人向け、伝わる資料作成講座Vol.1】
若手のビジネスパーソンの皆様はもちろん、新社会人の方もPowerPoint(パワポ)で資料を作成して、社内や社外の人にプレゼンをする機会は多いのではないでしょうか。プレゼンはプロジェクトやものごとを推進していくためのコミュニケーションツールとして極めて重要ではあるものの、プレゼンを自分の武器にしている人は少ないようです。
本記事では、世界中の戦略コンサルティングファームが愛用するパワポ作成ツールthink-cell(シンクセル)の日本法人代表である松塚展国さんが、複数回にわたり、圧倒的な推進力につながる高効率な伝わるプレゼン資料作成法を紹介します(以下、松塚展国さんの寄稿)。
目次
70%の人は自分のプレゼンがうまく伝わっていない
調査によると、70%の人は自分のプレゼンがうまく伝わっていない経験を少なくとも毎月1回以上経験しており、4人に1人は3回以上経験しています。
プレゼンが相手にしっかりと伝わることはビジネスにおいて重要で、たとえば外資コンサルでは、洗練されたパワポ資料を作成することを徹底的に訓練しています。パワポは外資コンサルの高収入や大きなプロジェクトの推進力を下支えする大事な武器となっています。
プレゼンを準備する際、多くの人がまずパワポを開いて、いきなりスライド制作に取り掛かりがちです。これが落とし穴で、伝わるプレゼンをするためにはスライドを作成する前の準備が重要で、この準備が全体の7割を占めるといっても過言ではありません。
今回は、プレゼン用のスライドを作成する前に必要な準備を5つのステップで解説します。
ステップ1:プレゼンのゴールをきっちり設定する
当たり前のことですが、最も大事なことは下記の2つです。
1. プレゼンのゴールを設定する
2. プレゼンを聞いて相手に何をしてほしいのかを明確にする
目的なんて設定しているよ、と皆さん思いましたね。しかし! 聞き手だった人に、わかりづらかったプレゼンの原因についてアンケートを取ったところ、44%の人が「趣旨が不明瞭だった」と回答しています。思ったよりも明確に目的を設定できていないプレゼンは多いのです。
よって、目的、相手にとってほしい行動の2つは文章に書き起こしましょう。
ステップ2:オーディエンスを理解する
続いては、オーディエンスを理解すること。相手の立場、目的、興味の度合いなどありますが、その中でも一番重要なのは相手の理解の度合いを理解することです。
相手の理解度を把握するために、本人やまわりの人にヒヤリングするなどできる限りの努力をしましょう。
ステップ3:論点を洗い出す〜論点を制すものがプレゼンを制す〜
事前整理の後は「論点」です。論点を制すものがプレゼンを制すといっても過言ではありません。具体的に論点とは、一言でいうと意思決定するうえで、解決されていない問いのことです。
例を挙げてみましょう。あなたが引っ越しを検討しているとしましょう。
あなたの引っ越しにあたっての希望条件は
•金額15万円以下
•駅まで徒歩15分以内
•スーパーが近くにある
•勤務地まで一本
•通勤30分
•まわりが静か
•風呂トイレ別
•耐震性がしっかりしている
だとします。
不動産屋が物件を提案してきました。
これを見ると、いくつか自分の希望を満たす情報があることがわかります。それを踏まえて自分の希望条件を整理すると
•金額15万円以下
•駅まで徒歩15分以内
•スーパーが近くにある
•勤務地まで一本
•通勤30分
•まわりが静か
•風呂トイレ別
だいたいの項目がクリアになっており、残るはスーパーが近くにあるかだけです。
今回のケースでは、スーパーが近くにあるかが論点となり、不動産屋としてはスーパーが近くにあることをプレゼンして、納得してもらえれば晴れて成約となるわけです。
このように、プレゼンのゴールを達成するためにオーディエンスは何の論点を持っているかを理解すること、そのための回答を準備することがカギとなります。
ステップ4:ストーリーを組み立てる
ここまで来て、ようやくストーリーを作り始めます。ゴール達成と論点、ストーリーの関係は下記の図のようになっており、論点、ストーリーをしっかりと組み立てることで達成したいゴールをぐっと近づけることができます。
まずはWordで組み立てることがおすすめです。ざっくりアジェンダ(大きな題目)を作って、そこから各アジェンダに中項目を加えていきます。
こうすることで、プレゼンの全体像をイメージすることができます。
そしてついにパワポを開きます。ポイントは、パワポ一枚一枚を仕上げながら作るのではなく、ざっとタイトル部分を入れてページ構成を作っていきます。これで全体の流れは完成です。
ステップ5:論理の飛躍やロジック漏れのチェック
人が納得しないケースは
・本当にそうなの?(縦の論理)
・ほかにないの?(横の論理)
この2点に集約されます。作ったページの流れをチェックして、「本当にそうなの?」「ほかにないの?」の問いに答えられているかを見ます。場合によっては教育係の人に相談してみるのもおすすめです。
以上、ここまでの工程いかがでしたでしょうか。最初は面倒くさいと感じる人もいるかもしれませんが、これがプロのプレゼン資料の第一歩で、このプロセスを体と脳に染み込ませるには実践する以外に近道はありません。
慣れてくると、頭の中でゴール、オーディエンス理解、論点まではパッと作ることができるようになり、いきなり紙芝居的にパワポでタイトルを入れていくということも可能になります。
ぜひ読者の皆様、このプロセスを体得してみてください。
次回は、実際のパワポの各ページを作るにあたってのプロフェッショナルに作るポイントを詳しく解説します。