「天気予報なんて外れる」と言わせない。Yahoo!天気アプリが取り組む当たる確率を高める方法
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他社に先駆けて「雨雲レーダー」を提供したのが成長要因に
加えて、他社よりもいち早く「雨雲レーダー」の機能をリリースしたのが、ユーザーの利便性を高め、ダウンロードにつながったという。
「Yahoo! MAPと連携して、各地の雨雲の要素を拡大・縮小ができる雨雲レーダーは、当時としては画期的な機能でした。リリース当初は1時間先までの雨雲の動きを見ることができ、その後は2015年のアプリリニューアルの際に6時間先、そして現在は15時間先まで時間が長くなっています。そのほか、他のサービスよりも『アイコン表示の細かさ』にはこだわっていますね。
晴れ、曇り、雨というマークだけではなく雨の強弱や日照具合に合わせたアイコンを作り、1時間ごとの天気の様子がより正確にわかるように努めています。さらに現在地やお出かけ先の天気予報を調べる地点検索では、地名のみならず、スポットや施設の名前でも検索できるように『検索性の向上』も図ってきました」
「天気予報は外れるもの」という前提のもと、情報の網羅性を意識
他社との差別化についてはあまり深く考えず、あくまでユーザーのニーズを拾えるようなアプリ開発を進めてきたそうだ。
「PM2.5情報や黄砂情報は、お客様から日々ご意見をいただくなかでご要望が多かったので、機能として追加しました。我々は、天気予報を行う会社ではないので、天気や花粉といったそれぞれのジャンルに精通した複数の気象会社から情報を提供いただけているのが、ひとつの強みになっています。
外出先の天気や天候の変化、紫外線や花粉の量など、ユーザーによって知りたい情報は異なるからこそ、あらゆる要望に応えられる『情報の網羅性』に留意しつつ、ユーザーの声を反映してきました」
その一方、前提として「天気予報は外れるもの」という認識を持ちながら、精度を少しでも高められるように努力しているとのこと。
天気予報をリアルタイムで100%的中させるのは難しい。
そのため、今現在の天気の状態を正確に示し、その先はどうなっていくかを表示することで、提供する情報の信頼度を担保しているわけだ。
ユーザーによって天気予報の見方が異なるぶん、機能追加の優先度決めが難しい
最近では、2022年に今いる場所の天気をユーザーが投稿できる機能「みんなの天気」をリリース。
ユーザー同士で天気の状況を共有することで、より詳細に天気の状況を把握することが可能になった。毎日、全国でおよそ数万件の投稿がなされているという。
こうした定性の情報が蓄積されていけば、天気予報の精度向上にもつながっていくだろう。
また、昨今におけるキャンプや釣りといった屋外レジャー需要の高まりを受けて、2023年4月には「風レーダー」機能を提供開始した。
このような機能追加に関しては「ユーザーニーズの多さや、端末のスペック、世の中のトレンドなど、複合的な要素を踏まえながら決定している」と田中氏は話す。
「現在、Yahoo!天気アプリは13のメイン機能がありますが、今でも社内の開発チームや企画メンバーから、機能追加の提案を随時もらっているような状況です。また、サービスをさらに良くしていくために、定期的なユーザーインタビューも実施しています。
『今日の天気予報を見る時に何を大事にしていますか?』という質問に対し、アイコンしか見ない人、降水確率を重視している人、温度をチェックしている人など、個々によって天気予報の見方が異なるんですよ。どれが正解とかではなく、さまざまな意見や要望をいただくんですが、さすがに全部は機能追加できないので、プライオリティやバランスを考えながら、開発を進めるようにしています」