美人女性社員からの友達申請、そこに待ち構えていた罠と思わぬ展開
良くない噂通り、怪しい投資話を持ちかけられ…
しかし、その数週間後、中村くんの言う通り、怪しい投資話を持ちかけられます。
「どうしても会って話したいことがあるからというから、退勤後にレストランで話をすることになったのですが、仮想通貨がどうの…っていう、ありがちな話でした」
しかし、丈一郎さんはさらに気になったことがありました。それは、どこか暗く陰鬱な雰囲気で、元気が無い梨花さんの表情でした。
そんな梨花さんを不審に思いながらも、一通り話を聞いていました。その場ではすぐに返事はできないから少し考えさせてくれ、と言い訳をし、その場ではお開き。
「ああ、中村くんが言っていたことは本当だったんだ、って思いました」
丈一郎さんはショックを受けます。
悪い道へ進もうとする梨花さんを説得
そのまま距離を置こうかとも思ったそうですが、浮かない顔をした梨花さんの様子がどうしても気になった丈一郎さん。そこで、何とか目を醒ましてもらおうと、Sの手先となって動いていることや、Sとの良くない関係について諭しました。
「梨花さんが浮かない顔をしながら、その話をしているのを見て、本当はこんなことしたくないんじゃないかって思ったんです。だから、梨花さんには悪事は似合わないからこんなことはやめるんだ、って強く言ったんです」
丈一郎さんのLINEに返信はなく、それ以降、LINEが途絶えたままになっていました。
「もちろん、投資の話も立ち消えで金銭的被害はなかったので良かったのですが……でも、梨花さんのことが気がかりでした」
すでに退職してしまったことを知り……
その後、しばらくして梨花さんは、「一身上の都合により」会社を退職したと、丈一郎さんは聞きました。
「これまた事情通の中村くんに聞いたのですが、梨花さんは会社を辞めた後、実家のある田舎へ帰ったそうなんです」
良い方向に向かっていれば安心だと自分に言い聞かせ、これまで通りの日常を送っていると、ある日、梨花さんから一通のLINEが届きます。
退職したはずの梨花さんからLINEが届いた
そこには、Sとの不倫を解消したということ。投資詐欺からも足を洗ったこと、一生懸命になって諭してくれた丈一郎さんへの感謝の言葉でした。
そして、最後に、「今度は普通の関係で一度会ってほしい」と書いてあり、後日久々の再開を果たした丈一郎さんは梨花さんから告白を受けることになりました。
「重荷が降りたのか、さっぱりとしていて、健康的な笑顔を浮かべるようになっていました」
そうして丈一郎さんは、再び上京してきた梨花さんと新しい道をともに歩み始めたのです。
<文/ベルクちゃん>