サンタ姿でフード配達して楽しい気分に…翌日運営会社から届いた「不穏なメール」の中身
ウーバーイーツなどのフードデリバリーが隆盛を迎えています。一方で雇用条件などの労働環境の劣悪さが問題視されています。クリスマスや年末年始はイベント・行事も多く、かき入れ時とも言われていますが、実際に働く人たちの本音はどうなのでしょうか?
「デリバリーだけでなんとか生活を維持している」と、やや元気のない面持ちで語るのは新潟県出身のフード配達員の久保宗司さん(仮名・36歳)。宗司さんは26歳で上京して以来、数社でサラリーマンを経験してきました。しかし、2年前に仕事を辞めて以降は、コロナ禍も影響して正規の職がなかなか見つからないといいます。
残高が20万円を切り、新たな道へ進む
「20代半ばまで新潟で暮らしていたので東京での生活は毎日満員電車に乗るのがしんどいです。新潟では車で通勤していたし、渋滞なんて見たこともなかったくらいですから。また、友人関係の基盤が東京にはなく、上京して10年経ちますが、友達になった人はまだいません」
宗司さんは、安定した収入を得るためにはサラリーマンか公務員以外の道はないと考えていました。無理と我慢を重ねて満員電車と冷めた人間関係に耐えてきたといいますが、30代半ばから不眠が続くようになり、鬱状態になったといいます。
「この歳でおめおめと地元へ帰ることもできず、銀行の残高は20万円を切りました。元気は無くとも原付バイクだけは運転できたので、生活していくためにフードデリバリーを始めました」
人と会うことがプレッシャーだった
退職してからは近所のコンビニへ行くとき以外、バイクにはほぼ乗っていなかったという宗司さん。唸るような渋滞のなか、根性でバイクを走らせました。
「長く世間から離れた生活をしていたので、はじめは人と会うことがプレッシャーになっていました。しかし、フードデリバリーは店とお客さんに一瞬だけ接触するのみなので、そこは救われたところですね」
そして、2021年の冬、街にクリスマスが近づくにつれ、宗司さんはあることを思いついたのです。