職場のほぼ全員が“新興宗教”の信者。30代社員「入信しないと昇進できない」
入社2か月で円形脱毛症、吐血、下血
たしかに勤怠ソフトを見ると、残業している人たちは、みんな定時退社していることになっていたそう。田中さんも結局、同じようにすることに。けれど仕事は終わらない。終電に間に合えばまだ良いほう。午前1時が田中さんの定時となったのです。
それからは祝日ももちろん出勤。そんな生活を2か月続けていると、当然、体に異変が出てきました。
「まず円形脱毛症。それから吐血・下血。体調が悪いのですが、なにせ人手が足りないから、自分でやるよりほかなくて。その会社の社長は、女性には甘いので、女性社員ってだけで遅くとも21時には帰っていましたね」
転職エージェントの話は全くの嘘
この女性びいきの社風がさらに田中さんをはじめ男性社員の苦しみを生んでいました。
「社長は若い女性を喜ばすのが大好きなので、やたらとイベントが多くて。その準備や出し物の練習で時間を割かれて、本業に着手するのが定時後なんてこともよくありました」
残業代未払いのうえにひどい男女格差。転職エージェントの言っていることはまったくのウソでした。でも田中さんはもう文句をいう気力すらなかったと言います。
「転職エージェントは、このひどい勤務実態を知っていたと思うんです。なぜなら人事部長が深夜でもお構いなく、人材紹介会社に『早く人をよこせ!』って怒鳴っていましたから。中小の人材会社ばかり10社ほどにいつも求人を掛けていたようです」