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第三次ドーナツブームで復調?クリスピー・クリーム社長が語る「魔法の杖はない」

ビジネス

大量閉店の原因は「コンビニスイーツ」ではない

クリスピー・クリーム・ドーナツ

クリスピー・クリーム・ドーナツの定番商品「オリジナル・グレーズド」

 まさにドーナツブームを牽引する存在となったKKDJだが、2010年代に入ると次第にその勢いに陰りが見え始める。ちょうどこの頃は、コンビニスイーツに注目が集まり、低価格で美味しいスイーツが気軽にコンビニで手に入るようになった。

 いわゆる第二次ドーナツブームが巻き起こったが、KKDJは日本上陸から10年という節目を前に、2015年の秋から2016年3月にかけて、当時64店舗を48店舗まで「大量閉店」する苦境に立たされていた

「2016年に日本上陸からちょうど10年というひとつの節目が迫っていたこともあり、さらにブランドを成長させていく上で、今の状況を見つめ直す機会を作りました。そこで最大の課題だったのは、既存店の売り上げが右肩下がりになっていたこと。エリアや店舗によってオペレーションが均一化されていない。そして、新規店舗と既存店舗における人材リソースの偏りや人材教育の至らなさでした。

 売上も、管理体制も、教育も、総合的に判断して『抜本的な改革が必要不可欠』だと思い、“選択と集中”の観点から既存店舗の立て直しを図り、再び成長の軌道に乗せるための仕込みをする必要があった。こうした経緯から、三大都市圏である関東、中部、関西以外の地方店舗を大量閉店する意思決定を下したんです

圧倒的な成功体験が後年足かせに…

クリスピー・クリーム・ドーナツ

ハロウィン期間限定で販売するダズンボックス「ハロウィン ダズン(12個)」

 若月氏によると、新宿サザンテラスの1号店における月商は、他のスイーツ店では類を見ないほどの圧倒的な売上を誇っていたそうだ。

具体的な数字は明示できませんが、絶頂期は相当の利益を上げていました。ただ、初期の頃の成功体験があまりにもセンセーショナルで、それを基準に立てる売上計画と実際の成果との差が年々開いてしまい、目標の数字に届かない店舗が増えてしまった

 他方、流行りもののスイーツは、一過性のブームを作って落ち着いたら撤退するブランドも多い。そんななか、KKDJは10年も続けてこられたのは非常に大きなことだと捉えていました。今後20年、30年と末長く継続していくためにできること、やらなければならないことを選別し、ひとつずつ階段を上がってきたのが今につながっていると思っています」

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