異なる環境に身を置き、自分の価値を再発見

『自分のスキルをアップデートし続ける　リスキリング』（日本能率協会マネジメントセンター）

　現在の仕事の環境に満足し、幸せな人は良いと思いますが、思い通りに仕事がいかなかったり、周囲からの評価に納得できない状態などにいたりする場合、あえて異なる環境に身を置くことで、自分の価値を再発見するチャンスが広がります。会社をまたいだ越境学習やNPOでの実務経験などが可能な場合は、積極的にチャレンジしてみると良いと思います。

　三井住友海上火災保険は2022年1月、企業にイノベーションをもたらすため、「出向や社外での副業など『外部での経験』を社員が課長に昇進するための前提にする」方針を公表しました。管理職の昇進に外部経験を課す理由のひとつに、出向などで得た知見や人脈を社内で活かし、新たな事業の開発を促す目的があるからです。

対面のコミュニケーションが苦手でも…

　今、所属している組織で満足いく仕事ができていない場合、配置転換を希望したり、転職して所属組織や働く地域を変えてみることで、意外な自分の能力や評価を得る可能性を高めることができるかもしれません。営利団体と非営利団体、都会と地方など、さまざまな方法で自分の立ち位置をずらす、ポジショニングを変えるのです。

　対面のコミュニケーションが苦手な方でも、チャットやメール等が主体のインサイドセールスなら、違う評価を得られる可能性も大いにあります。これは同じ営業でも、必要となるスキルが異なるためです。

　現状を変えたいと思ったら立ち止まらず、異なる環境に身を置き、行動範囲を広げ、行動量を増やすことで、自分の価値を再発見してみてください。

＜TEXT／一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事　後藤宗明＞