日米のディズニーランドで従業員が告発、パワハラに“ホームレス寸前”の薄給
9月の連休と10月のハロウィンで、ますます盛り上がりを見せそうなディズニーランド。しかし、いま国の内外で異変が起きているのです。
東京ディズニーランドの契約社員2人が会社を提訴
まずは東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランド。朝日新聞の記事(2018年7月20日)によると、着ぐるみでショーやパレードに出演していた女性契約社員2名が過重労働を課せられたりパワハラを受けたりしたとして、千葉地裁に約755万円の損害賠償を求める訴訟を起こしたのです。
最大で30キロにもなる着ぐるみを着てショーに出演していた女性社員(28)は、激痛をともなう胸郭出口症候群を発症してしまいました。昨年8月に労災認定を受けたのですが、現在も休職中だといいます。
パワハラ被害の女性社員(38)のケースも悲惨です。訴状などによると、13年1月に上司らから、「病気なのか。それなら死んじまえ」などとののしられ、体調を崩してしまったと主張しています。
さらに、キャリコネニュース(2018年7月20日)などが報じたところでは、この女性社員はもっとひどいことを言われてきたと告発しています。女性社員が喘息の症状に悩んでいるとユニットマネージャーに相談したところ、返ってきたのは信じられない言葉の数々。
「30歳以上のババァはいらねーんだよ。辞めちまえ」
「俺の前に汚ねえ面見せるな」
加えて、ショーで共演した先輩のアクターからは、「お前みたいにやる気のない奴は、全力でつぶすから」と、脅しまで受けたというから驚きです。
(なお、こうした訴えに対して、7月時点でオリエンタルランドは『訴状を確認し次第、対応する』と回答しています。初公判は11月の予定)
人材育成のお手本とされてきたディズニーでこんなことが起きていたのかと思うと、にわかには信じがたいところですよね。
米ディズニーの労働者は薄給で「ホームレスの危機」
ここはもう一度本国から学び直すべきと思うかもしれませんが、話はそう簡単ではありません。アメリカのディズニーでも、薄給が深刻な問題となっているからです。フルタイムで働いても、もはや家賃すらまともに払えないというのです。
VICE NewsとNew York Timesが立て続けに動画を配信していたので、内容をご紹介しましょう。
VICE Newsは「地上で最も幸せな楽園で働きながら、ホームレスの危機に瀕するディズニーの労働者たち」(2018年5月10日公開)とのタイトルで、各団体と連携して賃金の上昇を訴える姿を報じています。2019年までに時給15ドルにまで引き上げ、その後2022年には時給18ドルを支払うよう、行政に求めているのです。
しかし、これに対してアナハイム商工会議所の会長は反対を表明。もしも労働者が求める水準での賃金上昇を実行すれば、計画中の高級ホテル建設プランは頓挫するだろうと発言しているのです。市に対して要求を飲まないようプレッシャーをかけているわけですね。
このように巨額な投資により地価や物価は上昇する一方、利益を確保する手段として人件費が据え置かれているのだとしたら、真面目に働くことの意味を見失ってしまいますよね。