「ワーキングプアをなくす」元外資系メーカーCEOが語る、起業のきっかけ
時代がくるようなところで起業
「そのときの上司は、私の提案をすごくいいことだと思ってくれたようですが、歴史ある大きな組織には多くのカウンセラーがいて、さまざまな事業部があり、ITや新規事業に取り組むことは難しいことでした」
現状では新しいことに挑戦するのは難しいと判断した大津氏は、起業を決断する。しかし、起業したのも束の間、立ち上がりに苦労したという。
「外国人のベンチャーキャピタルや投資家たちの理解を得るのに時間がかかりました。現在、資金調達は4度目まで実施しているのですが、3回目までは本当に苦しかったです。やっと時代も追いついてきて、いい投資家の方から評価してもらえるようになりました。時代がくるのを待つというより、時代がくるようなところで起業するのが大事だと思います」
資金調達によってステップアップできる
これまで将来性を見出し、事業目的に賛同した投資ファンドから5億円以上(2022年7月現在)の資金を調達したCompass。大津氏は「金額というよりは、どんなお金を調達したのかに誇りを持っている」と語る。
「たとえば、経済的リターンを出すだけではなく、社会に対してどれだけ効果を出せるのかという『インパクト指標』という言葉があります。単にお金を稼いで増やすだけではなく、事業を通じて貧困率や雇用率、生活レベルなどが向上していくであろうと。
このインパクト指標を大事にしている投資家から、Compassが資金を調達できたことは、次のステップアップに弾みをつけるものでした」
また、就労支援におけるGovtechを推進するCompassは、経済産業省が選ぶ「J-Startup KANSAI」企業に2020年に選定されたほか、すでに8つの自治体でサービスが導入されている。
「なかに入ったらそれだけ苦労はあるのですが、自治体ならではの良さ というのがあると思うんです。ひとつでも信用していただいて実績があれば、向こうからお声がけいただけることが多くなりました。一緒にやっていこうと自治体職員の方から応援していただき、みなさんも勉強して事業を引っ張ってくれています」