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人前で失敗をしたら…恥ずかしい記憶を消すための対処法

学び

A:恥ずかしかった記憶を上書きしよう

仕事

 すると、90%の学生が記録内容を認識できたと回答。しかし、自分が記録したわけではないダミーの記録についても、50%の学生が「自分に起こった出来事だ」と認識していたのです。この調査からも、「記憶というものは、頼りないものだ」ということがよくわかるのではないでしょうか。特に、自分が強い感情を抱いた出来事については、無意識のうちに記憶が再構築されてしまうことがあります。

 たとえば、「こんな大失敗をしたせいで、友人に笑われて大恥をかいた」という記憶があったとします。実は、記憶が改ざんされてしまっていて、本当は友人も心配していたにもかかわらず、「笑っていた」と思い違いをしているかもしれないし、本人が思っていたよりも失敗自体が取るに足らない些細なものだった場合もあります

 また、過去に起こった出来事を思い出すと、その当時の感情まで思い出しているような気持ちになるものですが、これは「過去を振り返ったときのいまの感情」です。過去にあなたが抱いた感情とは別のものです。過去を振り返ったときの感情が上書きされることで、「恥ずかしい記憶」にますます恥ずかしさが上乗せされ、補強されてしまう。

「いま」の感情を記録しよう!

 だからこそ、イヤな感情を抱いた過去に囚われるほどに、記憶が悪いかたちに改ざんされていって、時間の経過とともにどんどん悪い記憶へと変わっていくリスクがあるのです。これを避けるためには、恥ずかしい記憶が蘇ったときに、当時どんな出来事が起こったのか、そして、「いまの自分」がどんな感情を抱いているかを記録することが大事です。

 感情のみならず、起こった事実も踏まえて認識することで、気持ちが冷静になっていきます。最初はなかなか受け入れられないかもしれませんが、その過去を肯定的に受け入れられれば、過去への認識は変わり、良い方向へと上書きされることもあります。

 人間は、「いま」を積み重ねて人生を歩む生きものです。過去に囚われすぎると、いま目の前にあるものが見えづらくなり、楽しめなくなってしまいます。現在、思い出している記憶は偽物かもしれないのに、そのイヤな過去に囚われてしまうのは非常にもったいないです。改ざんされていない本当の記憶と向き合って、過去に囚われる回数を減らしていきましょう。

<TEXT/公認心理師。産業カウンセラー 大野萌子>

公認心理師。産業カウンセラー。2級キャリアコンサルティング技能士。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ® 資格認定機関)代表理事。テレビ、ラジオ、新聞などのメディア出演・監修多数。著書に累計50 万部超の大ベストセラーシリーズ『言いかえ図鑑』( サンマーク出版) 『1ステップで気分があがる↑ 気持ちのきりかえ事典』(扶桑社)などがある。Twitter:@moeko_oono

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