意外と知らない日本で“最も税負担率の重い”商品とは?税収は2兆円以上を維持
一度吸う習慣ができてしまうと…
もし税金を取られるのが悔しいなら、みんなが一斉にタバコを止めれば、それ以上は税金が上がらなくなるだろう。でもそれは無理だ。習慣というのは若いころに身に染みつく。たばこを吸わないという行為を若いころにできなければ、歳を取ってもなかなか止められない。
一度吸う習慣ができてしまうと、よほど強い意志がない限り、病院に通院して禁煙治療するといった方法しかない。
喫煙者を取り巻く環境はどんどん厳しくなっているが、「外でたばこを吸うな」と指示するのは私権制限には当たらない。「外部性」という観点で見れば、交通違反と同じだからだ。喫煙者が煙を自分で吸い込んでくれれば問題ないが、外に広げてしまうとほかの人にとって害悪となる。
受動喫煙防止の流れができたワケ
これを外部性という。ある経済主体の意思決定(行為・経済活動)がほかの経済主体の意思決定に影響を及ぼすことを、経済学ではそう表現するのだ。
工場による空気汚染や旅客機の騒音などもこれに当てはまる。たばこも受動喫煙で他人を巻き込み害悪を与えるから制限できるという理屈になるわけだ。道路でスピード違反を取り締まるのと同じレベルの話だ。
多くの人々の全てを私権制限するわけではなく、ごく一部の人が対象だから、公共の福祉という名目でたばこを吸う場所を制限できる。そういう背景があり、2020年4月から改正健康増進法が施行され、受動喫煙防止の流れができた。これにより、飲食店などに受動喫煙防止義務が課されたわけだ。
<TEXT/嘉悦大学ビジネス創造学部教授 髙橋洋一>
12