5億売り上げた歌舞伎町No.1ホストが語る「人に愛される」技術
「徹底的にパシる」育成のワケ
イエスマンでありながら、自立したホストを育成する第一歩は、徹底的にパシる。これに尽きます。「自宅のゴミ捨て」「10分以内に自宅に迎えに来る」など、これでもかと雑用を振ります。狙っている効果は主に2つあります。
一つは、人間の思考や行動パターンを先読みし、生産性を高めようとする超合理的思考の獲得と、それの習慣化です。最初は一個ずつ雑用をこなしていた新米も、次第に「ゴミ捨てのついでに、亀のエサも買っておきました」と時短を覚えます。作業効率の向上だけでなく、主体性や気遣いも養われている証しです。
余裕が生まれてきたら、ホストの性格や気質に合わせて別の雑務を振ります。この繰り返し。俺は彼らをパシる代わりに成長機会を与え、彼らは俺にパシられることで、俺の責任下で、トライアル・アンド・エラーを通し、経験を蓄積できます。この成長サイクルが回り始めると、超合理的な思考を武器に、ホストとしてのステップアップが望めます。
もう一つは、チャンスを摑む確率を高められる点です。売り上げに繫がらない俺の命令に即対応できるなら、お客様の多少のむちゃぶりだって耐えられます。モチベーションに限れば、俺の雑用に比べて何十倍も高いはずです(笑)。
人材育成の本質はパシる・パシられる
売れる見込みのあるホストの育成に関しては、セミナー型ではなく、完全オーダーメイド型。ホスト業界にも接客術などのセミナーはありますが、内容が万人向けになるので薄っぺらい。また、自発的に学ぶのは大変なので集中力も高まらず、実践にまで落とし込めるホストはごくわずか。
だから俺は、彼らを観察。1年に数回の指導程度で、あとは放っておいても勝手に売れるよう、個人の資質に合わせたアドバイスをしています。
大小の違いはあれども、俺を含めて、スタッフ全員が組織の歯車であり、動力源です。誰もが、誰かを使うことで生きて、生かされています。あとは、どこで、誰にどうパシられ、誰をどうパシるのかです。誰に、誰をは、自分が何を与えられるかで変わってくる。
詰まるところ後輩の育成は、自分が組織に与えられるもの、組織内で自分の素質を生かしながら成長できる場所、これらを気づかせてあげることでもあるのです。
【3つの誓約】
<誓約1>
先輩の思考を先読みして愛されとウザいを両立するキャラを作れ!
<誓約2>
下っ端はまずイエスマン。日々の雑用を通して主体性と超合理思考を鍛えろ
<誓約3>
パシり続けるなかで部下の素養と資質を見極め組織内の居場所を確保しろ
<構成/キンゾー 撮影/tsubasa_works12>