フジロックCMが賛否両論。「ダサ過ぎる」の声が映し出すロックの現状
7月29日から31日にかけて行われる今年のFUJI ROCK FESTIVAL。このウェブCMをめぐって、賛否両論が巻き起こっているのです。
渋谷のスクランブル交差点で踊りながらスーツを脱ぎだすサラリーマン。気がつくとフェスの会場で盛り上がるのですが、それは居酒屋で酔っ払って見た夢だった。「今年も行くんすか?」とたずねる店員に、「そりゃ行くっしょ」とサラリーマンが答え、「いつものフジロック、苗場で乾杯」とのナレーションで締めくくる構成になっています。
CMに「安っぽい」など賛否両論
意見が分かれたのは、“退屈な日常をフェスで発散する”というストーリー。「安っぽい」と感じる人や、「スクランブル交差点とサラリーマンのイメージがハチャメチャにダサ過ぎる」と全否定する人もいました。
その一方で、「踊ってるおじさんが楽しそうで好き」、「そもそもそういう年齢層に向けて作ってるんだから正解」などと支持する声もあり、ひとまず注目を集めることには成功した形です。
その上で否定的な意見に注目したいと思います。ロックフェスに加齢臭が立ち込めているという自虐ネタを、なぜ毛嫌いしてしまうのでしょうか? 中高年のレジャーとなることは、ロックの格下げを意味するのでしょうか?
ベテラン勢が多かった英ロックフェス
だとすれば、そろそろ呪縛を解く時期なのかもしれません。
そこで6月22日から6月26日に行われたイギリスのグラストンベリー・フェスティバルを振り返ってみましょう。今年のラインナップは、いつにも増してベテラン勢が多かったのです。
ジョン・レノンの映像とのデュエットが話題を呼んだポール・マッカートニー(80)。エリザベス女王の在位70周年イベントでも歌声を披露したダイアナ・ロス(78)。80年代に「Don’t Dream It’s Over」を大ヒットさせた、ニュージーランドのバンド「クラウデッド・ハウス」も懐かしい名前です。
「レッド・ツェッペリン」のロバート・プラント(73)は、カントリー音楽の歌姫、アリソン・クラウス(50)とのユニットで登場。ジャズ界からは、大御所ハービー・ハンコック(82)までもが参戦しました。
筆者の知る限り、ここまで懐メロ度の高いグラストンベリーは記憶にありません。ビリー・アイリッシュ(20)が史上最年少でヘッドライナーを務めた快挙の一方で、大物ベテランが占める割合の大きさから垣間見えるロックの現状。