ゼレンスキー大統領演説で注目…同時通訳のプロに聞く「知られざる仕事の苦労」
通訳者の頭の中はどうなっている?
――日本語と外国語の単語の関係が1対1になっているわけではなく、多くの選択肢から選びとっているんですね。それを「瞬時」に行うために、どのようなイメージで訳に向かわれていますか?
関谷:「この英語をこの日本語に置き換える」というイメージではないです。インプットされる(聞こえてくる)英語を頭の中で映像化して、その映像を見て私が日本語でアウトプットする(話す)イメージです。
――速射的なお仕事なので、完璧になるのは不可能と思える同時通訳。関谷さんの目指すところはどこですか?
関谷:言葉や文化が違っても、発信側と受け取り側が「通じ合える」ような通訳を、今後も続けていくことかなと思います。
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あくまで、主役と受け手をつなぐ通訳という仕事。難しさとともに面白さも詰まっていることが見えてきた。今回の取材の最後に、関谷さんは「『通訳って面白そう』と思っていただける方が増えると嬉しいですね」と話していたが、少しでもその一助になることを願う。
<取材・文/Mr.tsubaking 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>
【関谷英里子】
日本通訳サービス代表。同時通訳者。慶応義塾大学経済学部、スタンフォード大学経営大学院修了(経営学修士)。伊藤忠商事、ロレアルを経て日本訳サービスを開業、自身も同時通訳者として活動。『カリスマ同時通訳者が教えるビジネスパーソンの英単語帳』『同時通訳者の頭の中』ほか著作多数。翻訳書に『まさか!?―自信がある人ほど陥る意思決定 8つの罠』。NHKラジオ「入門ビジネス英語」元講師