相手の言動にイライラする本当の理由とは?本質は「自分の感情」にある
期待を裏切られてからが「本当の人間関係」
あなたは、どんなときに、相手に対して「この人と一緒にいるのはもうイヤだ!」となりますか? 相手のことがイヤになる理由の1つは、自分が期待したとおりの関係が築けないからです。「二人でこういう関係を築きたい」、もしくは「自分はこうなりたい」という期待が裏切られたとき、「この人と一緒にいるからダメなんだ」と思って、相手のことがイヤになることがあります。
人間関係を良くしたい、良い関係を長く続けたいと思ったら、期待、特に相手との合意がない一方的な期待はたいてい裏切られるものであり、むしろ期待が裏切られたと思ってからが、本当の人間関係を築くスタートだということを知っておいてください。
せっかく人と出会う機会があっても、その機会をうまく生かせない人がいます。特に自分がもらうことばかりに意識がいってしまう人は、すぐに相手にされなくなります。
人間関係というのは、お互いに助け合ったり、応援し合うことで成り立っています。一時的には一方が与えすぎたり、受け取りすぎることがありながらも、次の機会には多く受け取りすぎていたほうが多めに与えるなど、お互いにバランスをとろうとすることで、うまく関係が続いていくのです。
「与える姿勢」が将来の仕事につながっていく
ところが、自分がもらうことばかりに意識がいってしまう人はこういう人間関係の機微(きび)がわかっていません。信頼関係や友情を築く前に、自分ばかり得しようとしてしまいます。そうなると、相手はたいして親しくもない人に損をさせられることになるわけで、「それなら最初からあいつにはかかわらないでおこう」という具合に、人が寄り付かなくなるのです。
大事なことは、自分の不足感を人に満たしてもらおうとするのではなく、自分を自分で満たすことです。そして、今の時点ですでに十分持っていることに気づき、それを自分からまわりの人に分かち合うことです。
なかには、自分には与えられるものなんて何もないという人もいるかもしれません。でも、じっくり相手の話を聞いてあげる時間ならつくれるかもしれないし、相手のやりたいことを聞いて応援してあげることだったら、たいていの人ができるのではないでしょうか。
何より大切なのは、実際に何を与えられるかではなく、自分から相手に与えようという姿勢です。あなたが与える人間になると、まわりの人も、そういう人物だと見てくれるようになります。その評判が、あなたの信用をつくり、将来の仕事につながっていくでしょう。
<TEXT/作家・経営コンサルタント 本田 健>