建設業界が“3K労働”イメージ払拭に「甲子園」を開催。3代目理事長の思い
建設関係の仕事に対して「きつい・汚い・危険」という3K労働のイメージ、現場で職人が喫煙する姿を思い浮かべるなど、マイナスの先入観を持つ人も少なくないようだ。こういったネガティブイメージを払拭して業界の意識やモラル向上を目指し、拍車がかかる後継者離れを改善する「建設職人甲子園」という大会がある。
決勝戦では屈強な職人たちが涙を流すこともある建設職人甲子園だが、一体どのような取り組みをおこなっているのだろうか? 外壁塗装を専門におこなう株式会社マーブルの代表取締役でもあり、2020年より甲子園の3代目理事長を務める石井賢氏に、本年2022年4月10日開催予定となっている「建設職人甲子園プレゼンテーション大会」への意気込みも併せて話を聞いた。
稼げないヤツはいらない
甲子園を創立した初代理事長は、16歳という若さで建設業界のアルバイトをはじめ、22歳で独立。会社は大きくなったが、さまざまな問題に頭を抱える日々が続いた。そんなとき先輩の言葉に、「稼げないヤツはいらない」と社員を駒のように扱っていたことが大きな原因だったことに気づかされ、建設職人甲子園を立ち上げている。
「初代の理事長だけでなく、経営者が職人との関係に悩むケースも多いです。また、自分が稼ぐことや技術を磨くことだけに注力してしまい、勤めている会社の理念や同じ職場で働く仲間に興味がない職人さんもいます。会社員でも同じですよね。実は、私が甲子園(建設職人甲子園)と縁ができたのも、経営する会社の人間関係がグチャグチャになったことがキッカケでした」
依存していたナンバー2の独立
1998年に石井塗装を創業した石井氏は、11年後の2009年には社名を株式会社マーブルへ変更して法人登記するなど事業を拡大。もともとは下請けのBtoBが中心だったが、直接消費者と取引をするBtoCにシフトしていくなど、傍から見れば順風満帆だった。しかしこの頃、BtoCへ舵を切るための営業に注力しすぎて職人とのかかわりをないがしろにしてしまう。
「そんなとき、頼り切っていたナンバー2が独立。社内の人間関係がグチャグチャになって非常に困っているときに、甲子園に誘われたのです。予選を通じて社内に変化が起きたという話を聞いて、私の会社にも変化が起きればいいなという小さな期待をして参加しました」
建設職人甲子園では「共に学び、共に実践、共に輝く」という理念をもとに、職人たちに学ぶ場、成長する環境を提供。チームビルディングという大きなテーマを掲げ、月1回の例会を通じ、その集大成として年1回の全国プレゼンテーション大会を開催している。