コロナ禍にあえて海外渡航する人たちの本音「母親に泣きながら止められた」
新型コロナウイルスの感染を受けて、2020年に日本から出国した人は、前年に比べて84.2%減少している(日本政府観光局調べ)。さらに2021年後半からの変異株の流行に伴い、日本の渡航者に対して入国制限措置を取っている国や地域も少なくない。
そんな中、2022年に入って海外へ渡航した人たちがいる。7年勤めた会社を退職し、アメリカ・LAの大学院へ留学した佐々木ユカさん(仮名・33歳)と、15年に渡り番組プロデューサーとして活躍したのちに、マレーシア・クアラルンプールの現地法人に就職した野中直樹さん(仮名・36歳)だ。
周囲の人に「海外へ行く」と伝えたとき、2人とも強い反対を受けたという。どのような経緯を経て渡航する道を選んだのだろうか。
自粛期間で人生を見つめなおした
2022年1月からアメリカ・ロサンゼルスの大学院に留学した佐々木ユカさん(仮名)。以前は都内のIT企業で順調にキャリアを歩みつつ、週末は友人と飲み会や旅行を楽しむなど、プライベートも充実した日々を歩んでいた。
「2019年末に結婚して、都心から少し離れた海沿いに引っ越しました。ちょうどそのタイミングでコロナ禍になり、自粛期間の中で自分の人生を見つめなおすようになりました。
多くの人が30代に入るとキャリアや人生に悩んで人生に低迷を感じる『クオーターライフ・クライシス』という言葉があるのですが、コロナの影響もあいまって、私もまさにそれに陥りました。そんな中、『自分がずっとやりたかったことは何だろう』と考えたとき、1番実現したいと強く思ったのが、ずっと憧れていた海外留学でした」
夫の反対を受けながらも、LA留学を決意
「仕事が落ち着いたら」「子どもが生まれて落ち着いたら」そう思って一歩を踏み出せなかった海外留学と向き合いたい。自分の中の正直な気持ちだった。
「夫には『わざわざ今、行かなくてもいいのでは』と大反対されました。でも、『コロナが落ち着いたら』とまた先延ばしをしたくないと思いました。善は急げと、ずっと興味のあったアートとデザインを学べるLAの大学院に合格するため、2020年からTOEFLの勉強を始めました。最初は反対していた夫でしたが、毎朝5時から深夜まで、仕事以外の時間にひたすら勉強している私の姿を見て、次第に応援してくれるようになりました」