医者家系の22歳男性が苦しみ抜いて「アーティストになる」と両親に伝えた結果
勉強と音楽を両立して、ついに緊急入院
勉強と音楽を両立して日々頑張っていた内村さんでしたが、ついに限界を迎えます。バンドメンバーたちとの練習中にめまいに襲われ、緊急入院。しばらくは、食事もできず学校にも通えない日々が続きました。
「心配して駆けつけてくれた両親とも話す気になれず、2週間ぐらいは誰とも会わない日々を送っています。そのあいだ、ずっと考えていました。このまま、アーティストになりたいという夢を封印して医者になっていいのか?と」
親の期待を裏切る苦しみに耐えながらも、内村さんはついに「アーティストになりたい」と両親に伝えたのでした。けれど、家を放り出されることや勘当されることも覚悟していた内村さんの耳に聞こえてきたのは、予想外の言葉だったのです。
アーティストになりたい夢を伝えたら…
「あっさりした感じで、『なればいいじゃん』と、驚くほど軽い返事が返ってきたんです。僕が入院したこともあり、両親は咎められないのかもしれないと申し訳ない気持ちで、『期待していた医者を目指さずに、ごめんなさい』と伝えましたが、両親はきょとんとした顔で僕を見ていました」
そのため、よくよく話を聞いてみたのだとか。すると両親は、内村さんに医者になってほしいと思ったことは一度もなく、お受験も内村さん自身がやりたいと言ったから受けさせただけだったことが判明。
「しかも、最近は僕が無理していると感じていたため、『医者になんてならなくてもいいと言うつもりだった』と言われ、なんだか拍子抜けでした。お互いの誤解が解けただけでなく、父が昔に歌手を目指していたこともあり、両親は音楽の専門学校へ行くことに大賛成。医学部を中退し、いまはアルバイトをしながら、音楽の専門学校で学ぶ日々を送っています」
内村さんの場合は、倒れて入院したことをキッカケに道が開けましたが、心身ともに追い詰められて身動きが取れなくなってしまっては本末転倒。限界を迎えるよりも前に、相談や行動したいものですね。
<取材・文/山内良子 イラスト/磋藤にゅすけ>