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マンガでわかる「投資を始める前」に準備するべき、いちばん大切なこと

コラム

結局はあなた自身が考える

投資信託

 ファイナンシャル・プランナーやロボ・アドバイザーが「あなたに最適なポートフォリオを提案します」と契約を迫ってくるかもしれませんが、あまり期待できません。

「あなたの100万円がいくらまで減ることを許容できますか?」という質問に対して、「① 1円も減らしたくない」「② 5万円までなら許容できる」「③ 10万円までなら許容できる」「④ 30万円までなら許容できる」「⑤ 50万円までなら許容できる」「⑥ いくら減っても気にならない」というように、結局はあなた自身が考えて答える必要があります

 肝心のリスク許容度はどうあがいても最後は自分で考えることになるのです。現時点の自分のリスク許容度を把握する方法は「各自、最大限に想像力を発揮して」としか言いようがないのですが、把握するための考え方の事例をいくつか提示します。

自分のリスク許容度を知る方法

【① 年間の貯蓄可能金額の範囲内】
 前述の家計の状態把握でわかった月々の黒字金額から、年間の貯蓄可能金額を計算して、その範囲を「最大損失に耐えられる金額の目安」とする考え方です。たとえば、年間50万円貯蓄できる家計であれば、最悪の事態として年間50万円までの損失であれば1年でリカバリーできるのでよしとするといった具合です。

【② 公的年金を運用するGPIFが負っているリスクの範囲内】
 私たちの公的年金も資産運用されています。国民の老後資金の基本となる大切な年金資金ですので、学者や金融業界のプロたちによって、できるだけ安全かつ効率的な運用がされているはずです。年金資金の運用でとっているリスクの範囲内であれば比較的安全なレベルではないかという考え方です。

 ちなみに、2020年度のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用報告を見ると、年金資金の運用は年間12.3%というリスクをとっています。金融の世界では年間リスクの2倍の損失をみておけば最悪のケースに備えられる可能性が高いと考えることが多いので、年間±24.6%となり、最悪で年間▲25%程度の損失を覚悟しておけばよいというリスク水準です。これは比較的安全サイドに倒したリスク水準といえます。

【③ 夜ぐっすり眠れるかどうか】
『ウォール街のランダム・ウォーカー』では、リスク許容度の把握は、「科学というよりは芸術の領域に属する」として、人それぞれ違うことを強調しています。また、「本当にあなた自身にとって最適な資産構成になっているかどうかは、あなたがそれで夜ぐっすり眠れるかどうかにかかっている」と説いています。

 いずれにしても、リスク許容度は人それぞれ違うので、最大限、想像力を働かせて把握してみてください。参考までに、私自身のリスク許容度は、現在は年間▲30%で、年齢とともにだんだん下がっていくと考えています。だいたい10年くらいの節目ごとに、自分自身のリスク許容度を再確認しています。

<TEXT/水瀬ケンイチ>

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