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「結婚→再婚」で姓が変わった26歳商社ウーマンの悩み。会社に報告しないといけないのか

学び

企業の「旧姓使用制度」と夫婦別性

慰謝料 離婚

 和泉弁護士は「企業は、旧姓使用制度を設けたほうがよく、この制度があれば旧姓を使い続けることができます。社内においては結婚や離婚により、名字を変える必要がない」と話す。さらに夫婦別性についても語る。

「結婚後、夫婦のいずれかの名字に統一する現在の制度は、社会の状況や人々の意識に合わなくなっていると私は思います。この制度により、特に女性のほうは不便な思いを感じるケースが多いのではないか。このような実態に目をつぶり、現在の制度を維持するメリットはあるのでしょうか。私は、社会としてはデメリットのほうが大きいと思う。従って、夫婦別性が好ましいと考えています

 今回の事例では、離婚や再婚が社内に広がることもまた、問題視されるべきと思った。確かに雇う側、雇われる側が共有する必要のない情報もあるはずだ。

 和泉弁護士に話を伺うと、筆者と共通の経験があった。2人とも小学生の時に名字が変わった児童がそばにいて、子どもなりに困ったことがあるのだ。その時の気まずさは、私は今も覚えている。おそらく、子どもからすると親の都合で自らの名字が変わるのは迷惑だろう。夫婦はともかく、子どもに負担をかける制度や仕組みはこれでいいのか否か、と議論はされるべきだと思う。

<TEXT/吉田典史>

ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数

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