「結婚→再婚」で姓が変わった26歳商社ウーマンの悩み。会社に報告しないといけないのか
名字を変える場合は会社に離婚を報告せざるをえない
和泉弁護士は「離婚し、名字を変える場合はその旨を会社に言わざるを得ない」と指摘する。
「戸籍上、名字が変わったことを人事や総務に言わないと、健康保険や源泉徴収などを始め、公的機関の各種書類の手続きにおいて個人が特定できなくなるため、不備が生じることがあります。これは名字を変える場合に男女を問わず問題となります。
離婚後、戸籍の上でも結婚時の姓を使う場合は、個人の特定上は特に問題が発生しないので、名字が変わる場合と比較すれば少ないです。名字が変わらなくても、健康保険の脱退手続きが必要になるケースはあり得ます。従って、戸籍上も結婚時の姓を使う場合は離婚したことを会社に伝える必要がないケースもあります」
仕事とプライベートの線引きが曖昧
和泉弁護士は「日本企業は仕事とプライベートの線引きが曖昧になっているケースが少なくない」とみる。
「本来はあってはならないのですが、離婚した旨を会社に伝えると、社内で噂として広がる場合があります。今回の事例もそうなのかもしれません。私は、個々の社員のプライバシーは離婚、再婚に限らず、いかなる場合も守られなければいけないと考えています。ところが、会社員の方から相談を受けると、その職場では仕事とプライベートの線引きが曖昧になっているように感じます。
雇う側として、個々の社員のプライベートをある程度把握していたいと思うのはある意味で当然でしょう。それらの情報をまったく知らないと、プライベートに配慮した接し方や仕事の任せ方ができない時があるからです。
ただし、会社が踏み込んではいけないところがあります。雇う側、雇われる側が共有する必要のない情報もあるはずで、その典型が離婚や再婚です。会社はそのあたりを認識し、必要以上に尋ねるべきではありません。働く人もプライべートのすべてを会社に捧げることは避けたほうがいい、と私は思います」